左から柴田理恵、池谷雅夫、丸山智 左から柴田理恵、池谷雅夫、丸山智

今秋、WAHAHA本舗とくろいぬパレードが、共同企画ユニット「笑犬」を始動する。そのねらいと第1弾『だがしかし、恋をする。』の内容について、WAHAHA本舗の柴田理恵、くろいぬパレード主宰の池谷雅夫、同劇団の脚本に携わる丸山智に話を訊いた。

「笑」と「犬」。両劇団のイメージから一文字ずつをつないだユニット名は、“ショーケン”と読む。2010年の秋、柴田がくろいぬパレードの公演『姉の恋』に出演したのが、事の発端だった。

柴田は言う。「丸ごとぶつかっていかなければならないような芝居で、とても充実感がありました。普通に会話しているようで実は裏の気持ちを話していたり、感情が何層にも重なっている。演じながら、毎日新しい発見があったんです。で、せっかく若い世代の作家と組んだのだから、一回だけじゃ意味がない。くろいぬの人たちともまた共演したかったし、ウチの佐藤正宏も賛同して、合同でユニットを作ろうかという話になったんです」。

舞台の大先輩からの誘いを池谷は当初「もちろん社交辞令だと思った」と笑う。「エンターテインメントを志向し、笑いを求めるという点では共通していますけど、表現の仕方が違うので。僕らは、日常を描きながらも、きれいごとですまさないというか、ドロッとした欲望を見逃したくないんです」。

池谷と丸山の共作で紡がれるのは、ブラックな純愛喜劇。保険金殺人の疑惑がありながら、証拠不十分で罪に問われなかった楠薫子(柴田)が、運命の男・山口雄一郎(岩渕敏司)と出会う。だがその人は、彼女が殺したと思われている老人の息子で、どうやら薫子に近づいたのにも理由があるらしい。物語は、雄一郎に向ける薫子の激烈な愛情を軸に、いくつかの恋模様が絡みながら展開する。

「脇目もふらずに、恋に向かって突っ走る。そんなメロドラマ的なヒロインを柴田さんに演じていただきます」(池谷)。「恋は無様でいいんです。人を愛するのは恥ずかしいことですから。でも、だからこそ恋はパワーを生むんですよね」(柴田)。「詩人アルフレッド・テニスンの言葉に、“恋をして恋を失っても、人を愛さないよりはましだ”というのがあります。つらいことが少なくない時代ですけど、支えになるのはやっぱり愛情だと思う。人と一緒にいることの喜びを皆さんに感じていただけたら」(丸山)。

笑犬『だがしかし、恋をする。』は10月31日(水)から11月4日(日)まで東京・中野ザ・ポケットにて上演。チケットは8月25日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは8月23日(木)までインターネット先着先行(プリセール)を受付中。