ソフマップ秋葉原本館からの業態転換でオープンした「ビックカメラ AKIBA」

東京・秋葉原で6月22日、秋葉原初のビックカメラ店舗となる「ビックカメラ AKIBA」がグランドオープンし、同時に、秋葉原地区のソフマップを5店舗に集約する再編が完了した。

ビックカメラグループでは、これら全6店舗を「AKIBA ビックマップ」と総称。ITとサブカルチャーの聖地、そして国際的な観光地としても一層注目を集める秋葉原で、面的な店舗展開によって収益を拡大していく考えだ。

<STRATAGY 1>

重複・分散のソフマップを再編 秋葉原の店舗網を最適化

ビックカメラが秋葉原へ進出する直接のきっかけとなったのは、同社傘下であるソフマップの苦戦だ。今回の再編では、ソフマップ秋葉原本館を家電総合店のビックカメラに業態転換するとともに、秋葉原地区内のソフマップ各店間で発生していた売り場の重複を削減し、グループとしての店舗運営効率を向上させた。6月下旬時点で、ソフマップ既存5店舗の売り上げは再編前より約2割アップしたという。

<STRATAGY 2>

低層階を非家電商品で固め アキバを訪れる観光客を呼び込む

近隣には、約2万3800m2の売場面積をもつ超大型店「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」が存在する。正面からぶつかっては、品揃えで見劣りは避けられないが、今回ビックカメラ AKIBAでは、ヨドバシを含む秋葉原の他店で取り扱いが薄い「非家電商品」を充実させることで、品揃えの差異化を図る。家電総合店の業態でありながら、秋葉原を訪れる観光客を取り込めるようにした。

<売り場づくり>

秋葉原ならではの品揃えで バラエティ感を演出

家電は売れ筋のアイテムに絞り込んで売り場の効率を高める一方、定番カテゴリ以外では地域特性を意識しバラエティに富む商品構成とした。メガネ・コンタクトレンズ売り場では、コスプレ需要を見込んでカラーコンタクトレンズを充実。逆におもちゃ売り場は、秋葉原ではあまり見られない知育玩具などを揃え、秋葉原を訪れたファミリー層の買い物需要にも対応する。

インバウンド客は「想定以上」 ソフマップとのシナジーが課題

ビックカメラ AKIBAの前田浩則店長は「世界のアキバだけあって、海外のお客様が想定していた以上に多い」と話す。観光客が足を止めやすい立地において、土産物になるアイテムで入口を固める作戦はねらい通りの効果を上げているようだ。約40名のアルバイト店員も、半数が外国語対応が可能という。

一方、ソフマップの立て直しはまだまだ道半ばだ。ゲーミングPCなどのハイエンド商品はソフマップの得意とするところだが、旧秋葉原本館に比べ現在の売り場は面積が小さく、見せ方が限られる。ビックカメラとの連携もポイントカードの共通化だけではまだ弱い。

ソフマップの渡辺武志社長は「グループとして、点から面へと広げ、秋葉原を盛り上げていきたい」と話し、店舗間の回遊を促進する施策を定期的に打っていく方針を示している。

店長:前田浩則

場所:東京都千代田区外神田4丁目1-1 1~7階

売場面積:約4700m2

※『BCN RETAIL REVIEW』2017年8月号から転載