2020年に向け、新築注文戸建ての半数以上を「ZEH」にという目標が掲げられている

2020年に実用化予定の次世代モバイル高速通信「5G」をはじめ、人々の購買行動や意識を変える新しい技術や製品は、着々と開発が進められている。6月28日に開催したBCN初の予測セミナー「大胆予測! 2020年のデジタル家電市場」を受けて、各業界に精通した3名に、現状分析を含め、今後の展望と予測を聞いた。

今後の重点分野として「リフォーム」や「住宅関連」を挙げる家電量販店は多いが、その方向性に、住宅・建設分野からITまで、幅広く取材しているジャーナリストの千葉利宏氏は懐疑的だ。工事を業者に丸投げするケースが多く、施行体制はできているのかと疑問を呈す。「現状、電気工事と情報通信工事を同時にできる職人は、ほとんどいない。スマートメーターと連携し、家庭で使用するエネルギー使用量の可視化や一元管理を図るHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)やIoT機器の設置を推進したいのなら、業界を挙げて人材育成に取り組むべきだと提言した。

最近の住宅・リフォーム業界の関心事は、今年3月、国土交通省が取りまとめ案を発表し、今秋にも正式運用が始まる予定の「安心R住宅」制度が、はたしてうまく稼働するのか、そして「2020年までにハウスメーカーなどが建築する注文戸建て住宅の5割以上」という高い目標が設定されている「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」、通称「ZEH(ゼッチ)」の普及の行方という。

消費者が中古住宅に抱く「不安・汚い・わからない」といったマイナスイメージを払拭し、耐震性やリフォームの実施状況(未実施の場合は参考価格を含むリフォームプランの情報)などの所定の要件を満たす場合に、「安心R住宅」というお墨付きを与え、中古住宅の流通を活性化させたいとの目論見だ。未リフォームの中古住宅を購入し、自由にリフォームやリノベーションする流れが定着すれば、関連市場は飛躍的に拡大するとみられるだけに、期待と懸念が入り交じる。

「ZEH」とは、住まいの断熱性・省エネ性能を上げ、太陽光発電などによってエネルギーを作り、そのエネルギーを蓄える蓄電池も備え、24時間365日、空調・給湯・照明・換気など、自宅で使う電気を自給自足でまかなうことができる「快適な室内環境」と「省エネ」の同時に実現した家だ。「戸建て住宅のリフォームは、HEMSなどを含めたスマートホーム化とZEH対応、2つの軸で進むことになる」(千葉氏)。しかし、補助金があっても、工事費のわずかな上乗せで済む新築とは違い、既存住宅ではZEHの導入は進まず、ZEH非対応の住まいの省エネ対策が問題になるとみる。

スマートホームの普及に関しては、便利でUIのわかりやすいキラーアプリの登場にかかっていると断言。むしろ、工事なしに簡単に設置できる「AI搭載スピーカー」のほうが普及する可能性が高いのでは、と語った。AIと音声認識の組み合わせは、次世代インターフェースとの呼び声も高い。高齢者の曖昧な発音や、短い話し言葉でもしっかり認識するか、国内外のさまざまなプラットフォーマーが開発を進めているAIの「日本語対応」が鍵を握ると指摘した。(BCN・嵯峨野 芙美)

経済ジャーナリスト・千葉利宏

北海道出身。東京理科大学建築学科卒、日本工業新聞社(現フジサンケイビジネスアイ)で半導体・IT、金融、自動車、建設・住宅・不動産を担当し、2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議幹事。著書は「実家のたたみ方」(翔泳社)ほか。

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