「できないこと」より「できること」に目を向けたい

——コミックではといろくんが自閉症スペクトラムと診断されるまでが詳しく綴られていますね。やはり、はっきりとわからない状況ではどう動いたらいいかもわからず、大変だったのではないかと思います。

今実際に、同じような状況にいる方に、アドバイスはありますか。

十子さん:振り返って思うのは、ついつい周りの子と比べてしまったり、できない事に目が行ってしまうのですが、子ども自身のできる事や、いい所に目を向けるべきだったと思います。

親がどんなに焦っても、子ども自身のペースは変わりません。だったら、その時できる事を思いっきり褒めて、お互い笑顔で過ごせたらよかったと思います。

——ご家族に、子どもの発達について理解してもらうのもなかなか難しいものだと感じました。十子さんはご両親や旦那さんに、といろくんいついてどう説明されていますか?

十子さん:診断がついてから、ハッキリと診断名は伝えました。そして、といろは成長がゆっくりな事、目指す所は将来、自立出来るようになる事、と説明しました。

実母だけは診断名がついてからもなかなか納得してくれなかったのですが、今は納得してくれています。

——といろくんが現在通われている療育園ではどんなことをされていますか?

十子さん:毎日の積み重ねで、日々の習慣を身に着けたり、先生に間に入ってもらって、お友達とのやり取りを学んだりしています。あとは個人に合った自立支援を計画に沿って、相談しながら支援していただいています。

——といろくんと接する中で気をつけていることや、工夫されていることはどんなことですか?

十子さん:伝えたい事は、短く簡潔に言うようにしています。次の日、いつもと違う事をするとわかっている時は、前日に説明するようにしたり。できるだけプラスの声掛けになるようにも心がけています。

「○○しないと○○できないよ」ではなく、「○○したら○○できるよ!」など。

といろが駄々をこねた時は、反射でガーっと言ってしまう事だけはしないようにしています。

もちろん余裕のないときもありますので、イラっとした時は深呼吸したり一拍置きます。焦ると私がイライラしてしまう事が多いので、時間に余裕をもって行動する事を心がけています!


いかがでしたか。障害の有無に関わらず、今子どもができることに目を向け、思いっきり褒めてあげるというのはとても大切なことですね。

本書は、発達障害などを抱える子を持つ親のみならず、子育て中のママなら共感できる場面がたくさんあるはず。

ジーンと心に響くエピソードも満載ですよ。ぜひ読んでみてくださいね。

ライター。音楽系の出版社で6年間勤務した後、かねてからの目標であったアメリカでの短期留学を果たし、現地でフリーペーパー制作のボランティアを行う。帰国後は、実用書を扱う出版社にて女性エッセイや心理本などの編集を担当。その後、ライターとしての活動を始める。北欧のヴィンテージ食器が好き。