桜花昇ぼる(右)と高世麻央(左) 桜花昇ぼる(右)と高世麻央(左)

宝塚歌劇団、松竹歌劇団(SKD)に並ぶ、日本の三大少女歌劇団として人気を博してきたOSK 日本歌劇団。創立90周年を迎える今年、その記念公演ひとつとして、9月7日(金)から、東京・三越劇場で『OSK日本歌劇団創立90周年記念公演 レビュー The JUJU~Bliss~』が上演される。そこで同劇団の男役トップスターの桜花昇ぼる、2番手の高世麻央に東京公演にかける思いを訊いた。

長い歴史を誇るOSKだが、その道のりは決して平坦なものではなかった。2003年に一度解散したが、すぐに存続の声が上がり、見事復活を遂げた。そんなOSKの魂を、桜花は「雑草の精神」と呼ぶ。「そのたくましさと言いますか、逆境があればあるほど強くなるメンバーばかり。その分、すごく絆の強い劇団だと思います」。また高世は、その絆が作品にも色濃く反映されていると言う。「みんな気心が知れていて、その中で切磋琢磨してお互いを高め合ってきました。そのチームワークのよさが、レビューの群舞力などにも表れていると思います」。

そんなOSKを牽引するふたりに、役者としてのお互いの魅力について尋ねた。「桜花さんは太陽とか宇宙とか、そういう壮大なイメージ。目の前のことではなく、そのふたつ、3つ先のことを見られているというか」と高世が言うと、桜花は「私は感覚派ですが、高世くんは非常に頭の回転が早い。頭脳プレーが出来る頼もしい高世くんがいてくれて、私は大変ありがたいです」と続ける。ふたりのバランスのよさも、OSKのチームワークを強めている要因のひとつだと言えるだろう。

今回の公演では、第1部で源氏と藤壺のロマンスといった日舞、第2部でジャズやロックの名曲に乗せた洋舞が披露される。「ものすごく斬新で、おしゃれなレビューです。また東京公演のみ、OSKが得意とするラインダンスも見ていただけます」とは桜花。“ダンスのOSK”と言われるだけに、その神髄を存分に堪能することが出来そうだ。

“ジュジュ”という言葉には、フランス語で“大切なもの”という意味もある。高世にとって大切なものは、「今この時」。「今しか出来ない表現というものがあると思いますので、その今、この時を大切に、本作にも臨んでいきたいと思っています」。そして桜花にとっては、「OSKそのもの」が何より大切だと言う。「その感謝の気持ちを込めて作品をお届けしたいと思っていますし、お客さまの大切なものが何か、ぜひ私たちと一緒に見つけていただけたらと思います」。

東京公演は9月7日(金)から9日(日)まで。

取材・文:野上瑠美子