『デンジャラス・ラン』を監督した新鋭ダニエル・エスピノーサ

デンゼル・ワシントンが悪役を演じ全米で大ヒットを記録した『デンジャラス・ラン』が7日(金)より日本公開されるのに先駆け、本作の監督を務めたスウェーデン出身の新鋭ダニエル・エスピノーサのコメントが届いた。

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本作は、元CIAのスゴ腕だったが今は裏切り者となった大物犯罪者と、手柄を立てたくてウズウズしている若手CIA局員という対照的なふたりが、隠れ家から隠れ家へと命がけの逃走を繰り広げるというロードムービー調のアクション映画。もともとハリウッドで“優秀な未制作脚本”に挙げられるほど注目される脚本だったが、それを手にしたプロデューサーが監督にと白羽の矢を立てたのは、1977年生まれのスウェーデン人、エスピノーサだった。「母国で撮った『イージーマネー』という映画がベルリン映画祭で好評を受けて、それ以来、我が家の郵便箱にアメリカからたくさんの脚本が送られてくるようになったんだ。その中にあったのがこの映画の脚本だった」とエスピノーサは振り返る。

かくしてハリウッドデビューを飾ることになったエスピノーサだが、キャスティングにあたり、主役である謎めいた犯罪者フロスト役にと切望したのが、名優ワシントンだった。「デンゼルは根本的には正直で、もちろん善人だ。だが、人間は誰でも闇の部分を持っているもので、それは決して表には出さないものだけど、デンゼルがその部分をチラリと覗かせたとき、その瞬間がとても美しいんだ!」

そんな想いを胸に、50代後半の重鎮ワシントンを昼食に招き、ドキドキしながらオファーを打ち明けたという30代前半のエスピノーサ。ワシントンは即座にこの若者の才能と熱意を見抜き、出演を即決したそうだ。しかも自らも製作総指揮に名を連ねるほどの力の入れようで、フロストという複雑な役柄の追求をスタート。名優の役作りの過程を目の当たりにすることになったエスピノーサは「彼は撮影に入る半年も前から自分の役について徹底的に研究していたんだ」と感嘆を隠さない。「だから、セットに入るとたとえ目の前でどんなことが起ころうと、フロストとして反応するんだ。これは映画監督にとってはとてもありがたいことだよ」

すべてを知り尽くしたベテランと、それに感化され成長していく意欲あふれる若者。まさに本作の主人公ふたりと同じ関係性を築くことになったワシントンとエスピノーサ。全米大ヒットというポジティブな結果を出すことができたのは、そんな作り手の状況が物語とうまくリンクしたことも一因なのかもしれない。

『デンジャラス・ラン』
9月7日(金)より、TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー