コブクロ コブクロ

コブクロが、昨年8月のツアー以来しばしの活動休止期間を経て、約1年ぶりとなる復活ライブを9月9日に開催した。会場となったのは大阪の万博記念公園・東の広場。元々地元大阪のストリートライブでそのキャリアが始まったこともあり、“大阪”、そして“野外”というこだわりで、この地を再スタートに選んだ彼ら。9月5日にリリースしたばかりのベストアルバム第2弾『ALL SINGLES BEST 2』が大ヒット中、さらにライブの場で直接姿を見せるのは久しぶりとあって、広大な会場には実に5万人超のファンで埋め尽くされた。

ステージにふたりが登場するや、大きな歓声と拍手が。まず1曲目に披露したのは、ライブには欠かせない代表曲『轍』。「コブクロが帰ってきたぞ~っ!!」と叫ぶ小渕に、会場も大いに盛り上がる。低音で優しく響く黒田の声に、ハイトーンが際立つ小渕の声。心地よく絡み合うふたりのハーモニー、そして温かな視点で綴る歌詞と胸を打つ美しいメロディと、感動的なコブクロ・サウンドは健在。漫才師顔負けのMCも、1年のブランクをまるで感じさせない。

そして、ヒットシングル『流星』では、一緒に口ずさむオーディエンスも。続く『To calling of love』のささやくようなボーカル、曲が進行するに連れ高揚感を増していく流れは実にドラマチックだ。とは言え、この曲で黒田はマイクを交換して歌うはずが、「あれだけリハしたにも関わらず、マイクを替えずに歌ってた…オレ、緊張してたのかも(笑)」とスタッフに謝りつつも和ませる、何ともコブクロらしい一幕も。5万人によるウェーブ挑戦を挟みつつ、後半はアップテンポな楽曲を次々と披露。何度も何度も感謝の気持ちを叫び、深々とお辞儀をしたふたりがステージを去り、ライブ本編は終了した。

そしてアンコールでは、5万人の大合唱に促されふたりが満面の笑みで再登場。「絶対に泣かないと決めていた」と語りながらも、スクリーンに映し出される表情は我慢しているのがありあり。そんな彼らが歌ったのは、デビュー曲であり、彼らがメジャーで大きなスタートを切った名曲『-YELL- ~エール~』。そして正真正銘のラストナンバーは、初期の作品ながらファンの人気投票No.1となった珠玉バラード『ココロの羽』。スクリーンには歌詞が映し出され、5万人が大合唱。ふたりが歌いながらステージを下り、ファンの間を歩くサプライズにもファンは大喜びだった。

再スタートとなったこの日のライブ。会場こそ違うが、デビュー後初のライブ、'01年の大阪城音楽堂と驚くほどオーバーラップする部分も多かった。大阪、野外という物理的な部分はもちろん、雨が降りそうな天候、そしてファンのいる客席を歩くふたり…。当時、会場に入り切れなかったファンのために、ライブ終了後、観客を入れ替え特別に数曲歌を聴かせた彼ら。今や多くの人を感動させる大きな存在になったコブクロとは言え、デビュー時から変わらない音楽に対する想い、そしてファンへの感謝の思い。改めてその姿勢が一貫していることを証明するような、感動的なライブだった。