リリー・コリンズ

グリム童話の「白雪姫」を、『ザ・セル』(00)、『落下の王国』(06)の映像派ターセム・シン監督が現代的な解釈で映画化した『白雪姫と鏡の女王』。本作で白雪姫を演じた、若手注目女優のリリー・コリンズが来日。強く成長していく新しい白雪姫像を創り上げたエピソード、オードリー・ヘプバーン風の髪型や衣装は監督のオーダーで実現した秘話を明かした。

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白雪姫と言えば、毒リンゴを食べてしまうことで、王子様の助けを待っているかよわい姫のイメージ。しかし、本作でコリンズが演じる白雪姫はピュアで世間知らずなお姫様から、自分の手で運命を切り開いていくタフネスな主人公。権力欲が深い鏡の女王(ジュリア・ロバーツ)に立ち向かい、王国と王子様をめぐってバトルを繰り広げる痛快な少女として登場するのだ。「今までの白雪姫を演じるわけじゃなかったから、ディズニーの昔のアニメーションは観なかったわ」と語るコリンズ。アクティブで新しい白雪姫を創り上げるため、「撮影が始まった直後の―新鮮で不安で好奇心旺盛な―自分の心情を応用して彼女の気持ちを作って、撮影中に完璧に白雪姫になったのよ」と自身の成長とともにキャラクターを構築したという。

その代わりモノクロ時代の映画、とりわけオードリー・ヘプバーンの出演作を参考にしたというコリンズ。そのエレガントなビジュアルは確かにヘプバーンと似ているが、そこにはターセム監督のオーダーがあったという。「実は昨年の1月にイギリスのファッション誌の表紙用に、若い頃のヘプバーンにインスピレーションを受けた写真を撮影したわ。前髪を短くカットして。今回の映画も同じような髪型よね。その表紙をターセム監督が見ていて、すごく気に入っていたの(笑)それで取り入れることになったのよ」。劇中のコリンズは、漆黒の髪と対照的な白い肌にクラシカルな衣装をまとい、息を飲む美貌を放っている。

そしてヘプバーンを意識した理由は、外見的な要素だけではなかった。王位継承者である白雪姫は、王国を預かる王女の風格がなければいけなかった。成長した後の白雪姫を演じる上で、彼女の存在が助けになったとコリンズは言う。「成長を遂げていく白雪姫はアクションもするけれど、ヘプバーンの気品が漂っているイメージにしたかったから、内面的にも意識していたわ。だから彼女に似ているって言われることは、最高のほめ言葉なの(笑)」。

『白雪姫と鏡の女王』

取材・文・写真:鴇田 崇