キヤノンの真栄田雅也イメージコミュニケーション事業本部長

【ドイツ・ケルン発】9月17日(現地時間)、開幕を翌日に控えた世界最大のカメラ・映像機器の見本市「フォトキナ2012」を前に、ドイツ・ケルンではプレス関係者向けにカメラメーカー各社から新製品の発表が相次いだ。キヤノンは35mmフルサイズセンサを搭載したデジタル一眼レフのエントリモデル「EOS 6D」、パナソニックはミラーレス一眼のフラッグシップモデル「LUMIX GH3」、オリンパスはコンパクトデジタルカメラの新コンセプト「STYLUS(スタイラス)」のフラッグシップモデル「ZX-2」をそれぞれ発表した。またCIPA(カメラ映像機器工業会)は、2013年1月31日から横浜で開く「CP+2013」のプレスカンファレンスを開催した。

●レンズの味を生かす「EOS 6D」

キヤノンは、フォトキナ会場のケルンメッセに隣接するイベントスペースに報道関係者を集め、製品発表イベントを行った。今回の目玉は、35mmフルサイズセンサを搭載したエントリモデルのデジタル一眼レフ「EOS 6D」だ。2020万画素のイメージセンサを搭載し、ISO感度は最高10万2400。GPS機能を備え、Wi-Fiでのファイル転送や遠隔操作にも対応する。

イベントで「6D」の発売を発表したキヤノンの真栄田雅也イメージコミュニケーション事業本部長は、「より手軽にフルサイズのよさを楽しんでいただくために発売した。風景など、広い絵を撮る際に広い画角が生きるフルサイズセンサ搭載の手軽なカメラは、アマチュアの方々にも待望されていた。キヤノンレンズのよさが生きるカメラだ」と話した。さらに先に発表したミラーレス一眼「EOS M」の位置づけについて、「従来のEOSシリーズと競合する製品ではない」として、「EOSの性能をコンパクトに詰め込むというコンセプトでつくった。EOSのバリエーションを広げるカメラ。交換レンズならぬ『交換ボディ』というイメージだ」と語った。また、ミラーレス一眼でほぼ最後発になってしまったことについては、「ある程度でき上がった段階で小型化が不十分だったので、やり直した経緯がある。結果的に開発に時間がかかってしまった」とした。

●プロユースも意識した「LUMIX GH3」

ミラーレス一眼を2008年に最初に発売したパナソニックは、プロの使用も意識したフラッグシップモデル「LUMIX GH3」をフォトキナ会場で発表した。同社やオリンパスなどが採用するマイクロフォーサーズ規格で、1605万画素のイメージセンサを採用。センサに貼りつけて画像を整えるローパスフィルターも新たに開発した。また、シリーズで初めてマグネシウムボディを採用。Wi-Fi機能で防塵防滴仕様を実現した。

パナソニックの北尾一朗ネットワーク事業グループDSCビジネスユニット長は、「『GH3』は、写真も動画もシームレスに撮影できるカメラとして開発した」と特徴を紹介、「速いAF(オートフォーカス)機能をはじめ、プロ写真家の要求にも応える製品に仕上げた」と語った。発表会の後半には、フォトジャーナリストのDaniel Berehulak氏をゲストに招き、「GH3」で撮影した写真を見ながら、小型軽量でありながら高画質を実現した製品の魅力をアピールした。

●コンパクトに新しい風を吹き込む「STYLUS」

一方、4年前のフォトキナでミラーレス一眼のコンセプトモックアップを発表し、今日のミラーレスカメラの先鞭をつけたオリンパスは、コンパクトカメラの新コンセプト「STYLUS」を、フォトキナオリンパスブース内の特設ステージで発表した。オリンパスイメージングの小川治男社長は、「このモックアップからミラーレス一眼が始まった」と語り、防塵防滴にすぐれた「OLYMPUS OM-D」に水をかけても問題なく動作するパフォーマンスを披露した後、コンパクトカメラの新統一ブランド「STYLUS」を発表した。「テクノロジー」「デザイン」「スタイル」「インテリジェンス」「アクティブ」の五つのコンセプトを重視した新しいデジタルカメラのラインアップを構成する。

「STYLUS」シリーズでは、フラッグシップモデルとして「ZX-2」を発表した。レバー操作で、クリック感の有無を調整できる「ハイブリッドコントロールリング」をレンズ横に配置。レバーの向きを変えることで、ピント合わせをするときにはスムーズに、絞り値を変更するときにはクリック感のある動きにと、動作感を自在にコントロールできる。また、F1.8~2.5の明るい4倍光学ズームレンズを採用。1200万画素で1/1.7インチの大型センサを備える。無線LAN機能内蔵のSDカードに対応し、スマートフォンとの連携や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った写真の共有なども簡単にできる。

●CIPAは世界のメディア関係者に「CP+2013」開催をアピール

CIPAはフォトキナ会場で、フォトキナ取材に訪れた世界各国の報道陣に対し、2013年1月31日から横浜で開く「CP+2013」の概要を説明するプレスカンファレンスを開催した。後藤哲朗CIPAプロジェクト審議会委員長が、オープニングスピーチでCIPAの活動内容を紹介。続いて寺田俊夫CIPA CP+2013イベントプロジェクトチーフが、「CP+2013」の開催概要を説明した。(道越一郎)

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