アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸) ⒸJ.LEAGUE

今季は20チームによるホーム&アウェイのリーグ戦で順位を争いJ1の下位4チームが自動降格し、J2の上位2チームが自動昇格するサバイバルとなる。

試合開催可否の基準は昨季より1人少ない13人登録、13人揃わなければ責を負うチームが代替日を探さなくてはならない。

代替日を決められなかった場合は「みなし開催」とし、0-3の敗戦となることが昨年末のJリーグ理事会で決まった。

1月12日のJリーグ実行委員会では、昨季のコロナ禍での特別ルールの継続にも言及。昨季に続き、「交代枠5人」と「飲水タイム」を継続する方向で話し合われた。

原博実専務理事は「交代枠5人」について「監督が思い切った采配ができ、若い選手の出場時間が多くなったデータもある。多くのクラブから継続の希望が上がった」として、「飲水タイム」については「飲水タイムがあればお客さんもトイレに行ける。リスクを下げるためには『継続した方がいいのではないか』と提案した」とメリットを口にした。

「交代枠5人」がもたらすメリットは若手の出場機会の増加だけではなく、選手の疲労軽減や故障リスク減少、さらに総ゴール数が『2019明治安田J1』が797得点だったのに対し、『2020明治安田J1』は866得点に伸びたことも挙げられる。

「交代枠5人」と「飲水タイム」の継続は次回の実行委員会で正式に決定する運びとなった。

埼玉スタジアム2002 ⒸJ.LEAGUE

また、この日にはNPB、専門家チームとの『第23回新型コロナウイルス対策連絡会議』もウェブ会議システムで行われた。

2021年最初の会議では、『ルヴァンカップ』決勝で実施された感染予防の調査データが共有されるとともに、Jリーグ、プロ野球のキャンプでの感染予防対策が話し合われた。

専門家チームの3人は以下のようにコメントした。

「今一番大切なことは各地域がどのような状況にあるかをしっかり確認し、キャンプを張れるかどうかを理解すること。受け入れ側が『難しい』と言うのであれば、それは避けるべき」(東北医科薬科大学・賀来満夫教授)

「キャンプ地は宮崎、沖縄が多いが、どこで開催するにしても、地元の理解がないといけない。大きな問題は地元の医療がひっ迫している地域があること。医療体制をひっ迫させないためにどうすればいいかが今回の議論の中心になった」(愛知医科大学・三鴨廣繁教授)

「沖縄や宮崎がウェルカムでなければ実現は難しい。ただ、まだ時間が少しあるので感染を下火にさせて、できるだけ予定通りできる方向を探っていくのが大事」(東邦大学・舘田一博教授)

昨季2週間に一度行ってきたPCR検査の頻度をキャンプ中は増やしていくことや無観客を含めたキャンプ見学のファンへの対応なども議論された。

村井チェアマンは「行政、知事からの中止要請があれば、リーグが判断することもあるが、現状ではキャンプが行われる前提で万全の対応をしていく。全クラブがPCRを実施してからキャンプ地に入るのを前提としている。ウイルスを持ち込まないのは当然の話。ファンには申し訳ないが、現地でのファンサービスは、今回は一切できないと考えている。無観客かどうかは協議が必要だが、まずは感染防止第一でしっかりキャンプを行いたい」と現時点で方針を明かした。

村井チェアマンが覚悟している通り、今季も困難なシーズンとなるだろう。それでもJリーグは昨季の知見と経験、新たなエビデンスをもとに難しい舵取りを担っていく。

村井満チェアマン ⒸJ.LEAGUE

1月4日・国立競技場でFC東京の2009年以来となる3度目の優勝を見届けた村井チェアマンは、次のようにコメントを寄せた。

「2021年も引き続き困難な状況は続くことでしょう。それでも私たちは歩みを止めず、国民の皆さまの健康を第一にしながらも、スポーツの持つ可能性を信じ、サッカーを届け続けます」と。

あおやま・おりま 1994年の中部支局入りから、ぴあひと筋の編集人生。その大半はスポーツを担当する。元旦のサッカー天皇杯決勝から大晦日の格闘技まで、「365日いつ何時いかなる現場へも行く」が信条だったが、ここ最近は「現場はぼちぼち」。趣味は読書とスーパー銭湯通いと深酒。映画のマイベストはスカーフェイス、小説のマイベストはプリズンホテルと嗜好はかなり偏っている。