見えない未来をアテにしない!

このように、住宅ローン破綻者の多くは購入時に暗示に掛かった言葉を聞かされていたことが分かります。

「余裕が出た時に繰り上げ返済」と考えていては、「子どもの教育費が掛かるから今は無理」「車を買うから今年は無理」など、何かと理由をつけて返済を後回しにしてしまいがちです。

さらには、これから給料も上がらないのに、生活費や教育費が嵩むばかり。余裕資金なんてどのタイミングで生まれるかなんて全く分からないという状態で、いつ繰り上げ返済ができるというのでしょうか。

また、「退職金が出た時に繰り上げ返済」という考えは、そもそも出なかったらアウトです。仮に出たとしても期待できる金額ではなかったり、定年後の生活を考えた場合、退職金を繰り上げ返済に充てることは難しいでしょう。

さらに定年を迎える頃には建物も老朽化していますから、リフォームや修繕のための費用も必要になります。これでは尚更、退職金を繰り上げ返済に充てることは難しくなりますね。

これからマイホーム購入を考える人は、今回ご紹介した通り、暗示に掛かった言葉に要注意ですが、「繰り上げ返済」や「退職金」を当てにして既に購入してしまった人は、今後の返済計画を現実的に見直す必要があるのではないでしょうか。

月々の返済額は一番気になるところでしょうが、それと同じくらい重要なのは「完済日」です。理想は定年退職と同時に完済ですが、そうもいかない場合は、破綻しない方法をFPなどの専門家に相談してみると良いですね。

子育て世代が住宅ローン破綻に陥ることがないよう、心よりお祈りいたしております。

ライター。不動産会社に10年ほど在籍し、賃貸営業、賃貸事務、売買仲介、売買仲介事務、不動産管理営業、不動産管理事務など幅広く経験。現在も不動産会社で勤務しており、おもに賃貸仲介をメインで活動中。好きな言葉は、「根拠のない自信はおおいに結構。それを裏づける努力をするべし」。二児の母でもある。