名曲の大胆アレンジに見るSMAPの変わらぬアティテュード

「SMAP」という概念を<中居正広/木村拓哉/稲垣吾郎/草なぎ剛/香取慎吾の5人による集合体>と定義するなら、ライブにおいていちばんのキモである<5人がそこにいる/5人と同じ空間を共有している>という実感を、常に強く感じさせてくれるステージになってるんです。

これって単純に5人がステージの上に立ってるだけでは決して成り立たないことで、ライブの構成を担当した香取慎吾の功績もデカイと思います。緻密に計算されたセットや映像と、5人の個性がぶつかって生まれるアドリブ性が絶妙なバランスで融合した演出の数々は、超客観的な視点と破格のサービス精神を持つ彼だからこそ成し得たものでしょう。さらにそれをビシッとこなす他のメンバーの表現者としてのスキルの高さにも、改めて驚かされました。

あと全会場日替わりでレア楽曲を歌ってくれる通称「GIFT曲」コーナーも嬉しかったです。この日は'06年発表の名バラード『STAY』でした。発表から6年、いま聴くと改めて泣けたわあ……。バラードだけどしっかり踊るのもカッコいいんですよねーこの曲。 リリース当時のツアーで歌っている模様は、<SMAPリサーチ>『ライブDVD、いちばんのお気に入りは?でも4位に食い込んでいるDVD作品『Pop Up! SMAP LIVE! 思ったより飛んじゃいました! ツアー』で観ることができます。

その他に序盤で驚いたのは『夜空ノムコウ』のラップバージョン! 若干サンバっぽい(?)リズムに乗せてAメロBメロは完全にラップ、サビでは小さい子どもダンサーたちと一緒に両手を振ったりと、ガラっと印象の違うアレンジが施されていました。普通のアレンジで歌えば感動間違い無しの鉄板チューンにも関わらず、です。<あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ>というサビの苦みばしったセンチメンタルさを振り払うかのように歌い踊る5人の姿は、同じ場所に安住せず常に走り続けてきたSMAPという共同体のアティテュードをそのまま表しているかのようでした。そう言えば幕間に流れた映像で、『We are SMAP!』ツアーのDVDを見ながら居眠りしているメンバーを香取がTV画面を叩き割って起こし、『GIFT of SMAP』の世界へと誘うというストーリーも、後ろを振り返らず常に前に前に進むSMAPらしい演出だったな(なんせ最新アルバムの収録曲、最初が『Just Go!』で最後が『前に!』なのですから!)。