左から、谷川正憲、加藤拓也 左から、谷川正憲、加藤拓也

劇団た組。の第15回目公演 三越劇場版「壁蝨」が8月30日(水)に上演される。本作は、三越劇場とシアタートラムというふたつの劇場で上演され、それぞれ違うキャスト(※一部同キャスト)が出演する。三越劇場版で音楽を担当する谷川正憲(UNCHAIN)と、劇団の代表で脚本・演出を手掛ける加藤拓也に話を聞いた。

劇団た組。「壁蝨」チケット情報

人生の選択における“では一体どうしたらよかったのかというのか”という、誰にでもある『どうしようもないこと』にフォーカスを当てた物語で、女性器を持たずに生まれてくるロキタンスキー症候群の主人公を中心とした人間関係が描かれる本作。一日だけの上演となる三越劇場版には、南乃彩希、岡本あずさ、宮田早苗らが出演する。その中で歌・演奏を担当するのが、今年4月に上演された第13回目公演「まゆをひそめて、僕を笑って」でも同様に出演した谷川。「もう!?と思いました(笑)」と笑う谷川は、普段はUNCHAINのヴォーカル&ギターとして活動するミュージシャンだ。

前作の経験を「すごく楽しかったです。初めての経験で。舞台の生演奏って、僕らがやってるライブよりもライブ感があったんですよね。すごく燃えますし、燃え尽きるし、精神力も削られるし」と語る谷川。前作の谷川を加藤は「最高のひと言に尽きます。お客さんにも『音楽がとにかくよかった』って絶対に言ってもらえていたし。音楽って演劇をつくるうえで超大事なので」と絶賛する。

劇団た組。の作品において生歌と生演奏は魅力のひとつだが役割は独特だ。「最初、場面のバックグラウンドの音楽をやるのかなって思ってたら、そうじゃなくて、主人公の心の中を音楽で表してほしいって言われたんですよ。やったことなくて。もちろん自分の曲では自分の感情を歌うんですけど、人の感情だから」(谷川)。「(登場人物が)気持ちを歌うミュージカルとはまた別で、(本作における)歌はどの立場にも立てるなと思っていて。登場人物の立場にもなれるし、お客さんの立場にもなれるしっていう。それが強みなのかなって思います」(加藤)。

一日だけの公演。谷川は「絶対緊張するけど、死ぬほど大変ってことは死ぬほど楽しいかもしれない」と笑顔。劇団た組。は今作のシアタートラム版で年内の公演はラストとなり、加藤は「自分の中での集大成というと変ですけど、すごく慎重に書いた作品です。丁寧に積み上げるところを観てほしい。三越劇場版はワンデイならではのよさを出せるようにしたいです」。

三越劇場版「壁蝨」は8月30日(水)に上演。シアタートラム版は9月29日(金)から10月1日(日)まで上演される。シアタートラム版の音楽は橋詰遼。谷川一押しのミュージシャンだ。