トークショーに登壇した(写真左から)新井浩文、赤堀雅秋監督、大根仁監督

劇団「THE SHAMPOO HAT」を率いる赤堀雅秋監督自らが作・演出・主演を務めた同名戯曲を改稿して映画化した『その夜の侍』。映画の公開を記念し、「第四回下北沢映画祭」の開催中、22日にトークショーが行われ、赤堀監督と映画『モテキ』の大根仁監督、本作に出演する新井浩文が登壇した。

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本作は、五年前のひき逃げ事件で死んだ妻・久子(坂井真紀)への思い出から抜け出せず、犯人への復讐を計画することで自分を保っている主人公・健一(堺雅人)と、ひき逃げ犯人の木島(山田孝之)、彼らを取り巻く周囲の人々が抱える孤独や葛藤を描いた人間ドラマ。

赤堀監督と大根監督の出会いは、深夜ドラマシリーズ『演技者。』内で赤堀監督の原作戯曲『アメリカ』を大根監督が演出したことがきっかけだったという。赤堀監督にとって大根監督は“一番意見を聞くのが怖い人”というイメージだったそうだが、どうにか合格点をもらったようで、トークショーでは安堵の表情を見せていた。

一方、大根監督は、「初監督だから失礼になるけれども、観たときに老練な感じと言うか…赤堀君は演劇と言う場で積んできたものがでかい。技術的なものとか、スタッフワークというのは知らずに入ったかもしれないけど、赤堀君がもともと演劇の場で培ってきた脚本力とか演出力とかに、スタッフや役者が引っ張られてよい作品になっているなあと。異業種監督の作品には全く見えない。むしろ出来過ぎと言う感じがしました」と絶賛。さらに、近年のメジャー作品とマイナー作品の興行収入や動員の格差問題について絡めて、「ものすごくお客さまが入っている作品と、良質な作品なのに全く入らないというのがある。その中間をいき、この現状を打破できるよい邦画として、ちゃんとヒットする作品になってほしい」とエールをおくっていた。

また、『モテキ』にも出演し、本作では健一の妻の兄役を務める新井は、「監督のやりきった感じが伝わってきて、参加できてよかったと思った。自分自身でも手ごたえを感じた」と感無量の様子。赤堀監督も、「自分で言うのもなんなんですけど…凄く武骨でエネルギッシュで、とてもおもしろい、よい映画だなと、客観視して思える作品になっているので、ぜひ観てください!」と、本作をPRしていた。

『その夜の侍』
11月17日(土)より全国ロードショー