TRUE『BUTTERFLY EFFECTOR』(『ひなろじ~from Luck & Logic~』OP)

人気トレーディングカードゲームのアニメ化第2弾となる『ひなろじ~from Luck & Logic~』のオープニングを飾るのが、「TRUE」さんの新曲『BUTTERFLY EFFECTOR』です。

力強いヴォーカルとディストーションの効いたギター、そして、軽快なドラムのビートが音をグイグイと牽引するこの曲は、エネルギッシュなバンドサウンドが魅力の1曲。

たおやかなバラードから爽快なポップソングまで、曲によってヴォーカリストとして様々な顔を見せてくれるTRUEさんですが、今回は、実に溌剌とした歌声で『ひなろじ』というチアフルな作品の冒頭を飾ってくれています。

作詞家としても辣腕を振るうTRUEさんらしく、自身のペンによる歌詞も冴えに冴え渡っており、「応援歌」としての側面が強いリリックは、どこまでも明快でありながら言葉のひとつひとつが実にキャッチーで、リスナーにエネルギーを与えてくれます。

変に奇抜なことを狙うことなく、極々シンプルな展開でまとめた曲の構成も、この曲のイメージにフィットしていますし、ポップスとしてスタンダードなまとめ方でもメロディや歌の印象が決して弱まることがないのは、それだけバンドサウンドの完成度が高いということなのでしょう。

また、『ひなろじ』のオープニングアニメーションと曲のシンクロ具合も素晴らしく、そちらもこの曲の個性にひと役買っています。

実写のコマ撮りによる"アニメーション"で、かしましくキャラクターたちが動き回る映像が実におもしろく、今期作のオープニングムービーの中でも特に印象的に仕上がりに。そのユニークな映像と『BUTTERFLY EFFECTOR』との相性は抜群で、映像と音がお互いにそのテンションを高め合う、とても素敵な"作品"となっています。

小松未可子『Maybe the next waltz』(『ボールルームへようこそ』ED)

人気声優、小松未可子さんの9枚目のシングル曲である『Maybe the next waltz』は、今期アニメ主題歌の中でもその異色な強調で異彩を放つ1曲です。

美しいピアノとストリングスの旋律、そしてタイトなドラムのサウンドが特徴のエレガントな1曲で、これまでの小松さんのシングル曲の中でもグッと大人びた雰囲気が漂っています。

プロデュースを務めているのは、人気音楽制作チームの「Q-MHz」で、その意外性のあるリズム感のチョイスが如何にもおもしろい音楽的効果を生み出しています。

ワルツをベースにしたバックトラックは、リズムもテンポも一般的なポップミュージックのそれとは違い、かなり歌うのが難しい曲になっているかと思うのですが、それを見事に歌い上げる小松さんの歌唱力が何よりの聴きどころ。特に、曲の後半での伸びやかで音域の幅があるヴォーカルワークには、鳥肌もののエモーションが宿っています。

Q-MHzによるクオリティーの高い楽曲と小松さんの歌唱力、そのふたつがシッカリと噛み合い、素敵な相乗効果を挙げている本曲。

今年のフィルモグラフィーを振り返っても、『Re:CREATORS』のセレジア役のような正統派ヒロインに始まり、『サクラクエスト』での香月早苗役のような年上のお姉さん、更には、ティーンエイジャーの少女や男の子まで、様々な役柄を演じ、その声優としての演技力と美声に更なる磨きをかけている小松さんですが、役者としての充実ぶりに加えて、シンガーとしての活動からも目が離せませんね。

なお、今期のアニソンですと、この曲の他にもQ-MHzは、『妖怪アパートの幽雅な日常』のエンディングにも楽曲を提供しており、そちらでは、『Maybe the next waltz』とは打って変わってファンクやラテンの要素を取り入れた"ファンカラティーナ"なバンドサウンドを聴かせてくれます。同ユニットならではの幅広い音楽性を強く体感できますので、本曲と併せてチェックしてみてください。