その作品性同様に、クオリティの高い楽曲が多数リリースされた2017年の夏アニソン。その中からオススメの5曲をご紹介します。アニソンライターが悩みに悩んで選んだ全5曲。皆さんのお気に入りの楽曲は入っていますか?

Wake Up, May'n!(Wake Up, Girls!×May'n)『One In A Billion』(『異世界食堂』OP)

人気声優アイドルユニット「Wake Up, Girls!」と人気アニソンシンガーの「May'n」さんが、まさかのコラボレーション。アニソン界の歌姫による夢のスペシャルユニット「Wake Up, May'n!」が送る楽曲が、この『One In A Billion』です。

本曲で主役となっているのは、やはり、両者の歌声。Wake Up, Girls!の"可愛い"歌声とMay'nさんの"カッコ良い"歌声の融合が生み出す"カッコ可愛い"の最強パワーは、この曲を特別な輝きを放つ1曲へと仕立て上げています。

パワフルなMay'nさんの歌声に、声質の個性も豊かなWake Up, Girls!メンバーのチャーミングなコーラスがミックスされ、それが単純な足し算ではなく、奇跡的な掛け算として曲のメロディの力強さを10倍にも20倍にも高めています。

意外性すらも感じられる両者のカップリングですが、この曲を聴く限り、その"邂逅"が必然的なものだったのではないかと思う程、歌もキャラクターも極々自然体で馴染んでいます。

そして、並び立つ両者の存在感により一層の躍動感を与えているのが、作詞家の藤崎聖子さんによる歌詞世界でしょう。

この曲がオープニング曲として使用されている『異世界食堂』は、"食"を始点と支点にして、ファンタジー世界と現実世界が交わり、異種間でのコミュニケーションが綴られる群像劇ですが、その物語性が「出会い」をテーマとしたリリックの中で見事に描写されています。

奇跡的な出会い、異なる者同士が巡り合うことで生まれる新たなストーリー……その歌詞は、『異世界食堂』の作品性を物語ると共に、Wake Up, May'n!というユニットの特別なアーティスト性をも表現しています。

全編に渡ってパンチラインの連続なのですが、中でも秀逸なフレーズが一番のサビ直前に挿入される「フュージョン」と「ミクスチャー」という音楽用語の引用です。

『異世界食堂』の作品性と主題歌を担当するアーティストの存在感を表現するのに、これ以上ない程のキーワードがズバリとハマっている。まさに、藤崎さんの作詞家としての才気が爆発した名フレーズだといえるでしょう。

ユニットの今後の展開にも大いに期待をしてしまう、奇跡のコラボが生み出した名曲です!