9月21日、アップルの最新スマートフォン「iPhone 5」が発売された。米アップルが24日に発表したプレスリリースによると、「iPhone 5」の発売から3日間のグローバルの販売台数は、「iPhone 4S」の1.25倍となる500万台を超えたという。予約数は過去最大で、初回出荷分はすでに売切れ。需要が当初の供給量を上回っているという。日本では、「iPhone 4S」に引き続き、ソフトバンクモバイルとKDDI(au)の2社が販売する。ともに売れ行きは好調で、しばらくは予約しなければ買えない状況が続きそうだ。

量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、発売初日の9月21日の販売台数は、前機種「iPhone 4S」の発売初日の2011年10月14日発売の販売台数を上回った。新モデルが発表されるたびに、発売初日に必ず買う熱烈な「iPhoneファン」は確実に増えている。東京・銀座のアップル直営店「Apple Store Ginza」には、当日販売分を求めて750人以上が朝8時の開店前から行列をつくり、当日はお祭り騒ぎだった。

●「iPhone 5」が1位から5位まで独占! シェアは4割近い36.9%

「BCNランキング」によると、「iPhone 5」発売日の9月21日を含む9月第3週(2012年9月17~23日)の携帯電話全体の機種別販売台数1位は、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」の64GBモデルだった。1位から5位までを「iPhone 5」が独占し、7位にはauの「iPhone 5」の16GBモデル、8位にはソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」の16GBモデルが入った。

キャリア・容量を区別せずに合算した「iPhone 5」全体のシェアは36.9%。販売台数は他の機種とはケタ違いで、スマートフォン全体の販売台数を前年比185.4%、前週比207.1%に引き上げた。キャリアごとに容量を合算すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」(23.3%)、auの「iPhone 5」(13.6%)、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」(5.2%)、NTTドコモの「GALAXY S III SC-06D」(4.0%)、auの「iPhone 4S」(3.2%)の順で、「iPhone 5」「iPhone 4S」とも、ソフトバンクモバイル版がau版を上回った。

9月21日の発売後3日間を含む9月第3週、「iPhone 5」に限ったキャリア別販売台数シェアは、ソフトバンクモバイルが63.2%、auが36.8%。「iPhone 4S」発売日を含む2011年10月第2週は、ともにシェア50%前後だったが(ソフトバンクモバイル54.3%、au45.7%)、「iPhone 5」では、ソフトバンクモバイルがauを大きく上回り、シェアにして26.3ポイントもの差をつけた。この「およそ6対4」という比率は、「iPhone 4S」の2012年8月末までの累計の比率とほぼ同じで、急に伸びたわけではない。キャリアショップではなく、家電量販店で購入する層には、モデルチェンジはあまり影響なかったようだ。

今や、iPhoneをはじめとするスマートフォンは、パソコンに代わり、さまざまなデジタル機器をつなぎ、より便利に楽しく過ごす「デジタルライフ」の中心的存在になりつつある。このまま、ソフトバンクモバイルが「iPhone取り扱いキャリアNo.1」の座を保つことができるかどうかは、今後の伸び次第。予約者にひと通り行き渡り、予約しなくても店頭で衝動的に買えるような状態になった後も、今まで通りソフトバンクモバイルが優勢を保つことができるのか。iPhoneをめぐるキャリアの争いは、これから真の始まりを迎える。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。