赤ちゃんをコントロールすることは誰にもできない!たとえママでも無理なものは無理

竹中:「使えるのは『人の手』である」
ことが多いのです。

――「人の手」ですか。

竹中:母乳育児の場合、繰り返しになりますが、時間も場所も問わずしょっちゅう泣かれるので、規則で使い方がカッチリ決まっているような物理的な枠をいくら用意しても使いにくい、もしくは使えないことが多いことを実感しています。

それは例えば会社が授乳時間を提供してくれたり、授乳室を用意してくれたりしても、残念ながら赤ちゃんのニーズがそこに、ちょうどよくはまってくれないのと同じです。

子連れ出勤で有名になった授乳服ブランド「モーハウス」の本社では、授乳時間も決めていないし、授乳室もないけれども、事務室の後方にカーペットが敷いてあって、そこで授乳や眠くなった子どもの寝かしつけをできる仕組みなのだそうです。

「働きながら授乳できる」し「授乳しながら働ける」。逆にそのくらいでないと、母乳育児中のママにとっては現実的ではないということ。

つまりポイントは「場所」や「枠組み」ではなく、「人」と「人を動かす仕組み」なのです。

ママがお出かけの時にイライラしたり焦ってしまったりするのはある意味当然で、どうしてそんなことになるかといえば、大人が用意した環境に赤ちゃんが満足して収まっていてくれないから。

でも、発想を逆転させてみると「赤ちゃんのニーズに当てはまらない枠は使えない、もしくは使いにくい」のです。

こればっかりは、赤ちゃんが悪いワケでも、ましてやママが悪いワケでもありません。「赤ちゃんのニーズ」はまさに自然そのものですから、明日のお天気を決められないように、そもそもコントロールしようがない(笑)

つまり「子どもの躾に問題がある」ワケでも「ママの段取りが悪い」ワケでもないのです。

このことを覚えているだけでも、気持ちが楽になるママもいらっしゃるかもしれませんね。

――決してママが“駄目母”なワケではないのですね。肩の力が少し抜けました。

○○すべき!に縛られ過ぎない方がいい?赤ちゃんのニーズに寄り添うということ

――でも、そんな予測不可能な「赤ちゃんのニーズ」に、どうやって応えたらいいのでしょう?ましてや公共の場となると、どれだけ臨機応変に動けるかが勝負になってしまいそうで、それはそれでプレッシャーを感じるのですが。

竹中:「赤ちゃんのニーズ」にどう応えるか、不安を覚えるママも多いですよね。

実は、私自身は一人目の母乳育児中、アルバイトの口があって、子どもが生後3カ月の時に働き始めました。まだ元気だった姑が子どもを預かってくれて、冷凍母乳を託して出勤して。

でも、娘がガンとして哺乳びんから飲んでくれなくなってしまって……どうしたかというと、困った姑がオンブして娘を連れてきました。

姑には、足が悪いのに申し訳ないことをしたと思いますが…。

で、事務所は男性もいる部屋だし無理なので、翌日から昼休みに駅ビルにある授乳室で待ち合わせて、そこで授乳しました。それが赤ちゃんにとっても母体である自分にとっても、心身ともに非常にスムーズだったので驚きました。

毎日通ってくれた姑はといえば、いまを去ること60年ほど前に乳児期の子どもをおぶって、合間に授乳を挟みつつ働いた経験もある人だったので、違和感はなかったらしいのですが。

でも、私にとっては「こういう方法があるのか」とビックリ!

あの時の娘にとっては、ママに会える時が飲める時、飲みたい時で、そうでなければ「要らない」「飲みたくない」という状況だったのに、大人が「○○すべき」にこだわり過ぎるあまり「いま飲ませなきゃ!哺乳びんで飲め!飲め!」だなんて、赤ちゃんの要求とは見当違いのことをしてしまっていたのですね。

そんな思い込みによってお互いによりしんどくなったり、解決方法を見失ったりしてしまうことって、結構あるような気がします。

言い換えれば、困っているのは「何時間ごとに飲ませなければいけない」とか「そのためにはこのツールを使わなきゃ」とか、そんな決まりごとに凝り固まっている大人のほうで、もっと赤ちゃんの様子を見て、赤ちゃんの要求に合わせることが必要、なのでしょう。

今で言う「変則授乳」は赤ちゃんの側から見ると変則でもなんでもない。ママがいる時は飲めて、いない時は飲めない、というだけ。

そんなことを痛感したのを、よく覚えています。

そして同じことが、外出中のママにもいえるのではないでしょうか。

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