27歳の社会学者・古市憲寿が<プレッシャー世代>を分析!

1982~1987年生まれの「プレッシャー世代」とはいかなる世代なのか? ベストセラー『絶望の国の幸福な若者たち』の著者で、自らもプレッシャー世代である社会学者・古市憲寿にお聞きしました。

1982~1987年生まれの「プレッシャー世代」とはいかなる世代なのか? ベストセラー『絶望の国の幸福な若者たち』の著者で、自らもプレッシャー世代である社会学者・古市憲寿にお聞きしました。

【プレッシャー世代】とは
最近、ネット界やビジネスシーン、学問の世界などで新世代が台頭し始めている、現在25歳から30歳(1982-1987年生まれ)の世代ゆとり世代と氷河期世代の間に位置。人 気ブロガー“sugio”さんが2007年に命名。ネット上で生まれ、ネット上で話題となった。sugioさん曰く「’82 年生まれの北島康介さんのように、人生の大一番で実力をフルに発揮できる有名スポーツ選手が目についた。下のゆとり世代や上のポスト団塊ジュニア世代に比 べて、明るい中にも独特のピリっとした雰囲気を漂わせる方が多いように見受けられた。そこに彼らが過ごした時代性が反映されているのではないか、様々なプ レッシャーに耐えてきた世代なのではないかと考え命名した」とのこと。ここ一番で強さを発揮する、明るさの中に緊張感を秘めた世代。

「現状の生活に満足しながらも、非日常を求めてムラムラしている世代です」

先行する「ロスジェネ世代」や、後に続く「ゆとり世代」と比べて、メディアなどであまり多く語られてこなかったプレッシャー世代。
この世代はどんな価値観を持ち、何を求めているのだろうか?
従来の若者論に痛烈な批判を加えたベストセラー書『絶望の国の幸福な若者たち』で、プレッシャー世代を代表する言論人となった社会学者・古市憲寿さんが、他世代との比較を通して自分たちの世代の特徴を分析する。

 

友達や仲間を大切にし、生活への満足度も高い世代

現在25歳から30歳までのプレッシャー世代とは、はたしてどのような特徴をもつ世代なのだろうか。ベストセラー書『絶望の国の幸福な若者たち』の著者で、現在27歳の社会学者・古市憲寿さんは、「まずは若者世代全体の価値観の変化を踏まえる必要がある」と話す。

「統計的に見て、’80 年前後生まれ以降の世代は、上の世代と比べて確かに異なる価値観を持っています。仲間を大切にする傾向が強まり、社会貢献欲求も高まっている。その中であえて’82 〜’87 年生まれの特徴を取り出すとしたら、ひとつ上の世代であるロスジェネ世代との違いを探ると分かりやすいでしょう」

ロスジェネ世代とは一般的に、新卒時に就職氷河期を経験した’75年前後生まれから’80年前後生まれの世代を指す。

「ロスジェネ世代は、少し上の世代までは経済的な恩恵を受けられていたのに、自分たちはそれを受けることができなかったという剥奪感を抱いています。一方、現在25歳から30歳の世代は、ロスジェネ世代と比べるとずっと楽観的です。この世代は日本の景気がよかった時代を知りません。’82年生まれだと、10歳の頃にはバブルがほぼ終わっていました。だからこそ、日本の経済がよくなるとも思っていないし、現状にそれほど不満も持っていません。高度成長やバブルを知っている世代は日本の現状を悲劇と捉える傾向がありますが、この世代はそもそもの準拠点がないため、自分たちのことを卑下しないし、過度の悲観とも無縁です」

表1【現在の生活に対する満足度】

表1 20代の生活満足度は他世代よりも高い。「国民生活に関する世論調査 2012年版」(内閣府)
表2 20代の不安感は増大する傾向にある。「国民生活に関する世論調査」(内閣府)アーカイブより作成

実際、表1で見られるように、この世代の生活満足度は他世代よりも高い。日本のことを肯定的に見る人も多い。その背景として、古市さんは日本社会の生活水準の向上を挙げる。

「80年代までの日本社会は、何だかんだ言っても、今から想像もつかないほど貧しかったんです。たとえばひとり部屋にカラーテレビが置かれるようになったのは80年代後半のことですし、携帯電話の普及は’98 年以降で、パソコンが各家庭に行き渡ったのは00年代に入ってから。僕たちが当たり前に使っているものが整備されたのはごく最近のことで、こうしたインフラの整備は若い世代の価値観に大きな影響を与えています。見方を変えれば、今の若者は仲間を大事に思えるくらい恵まれていると言えます」


【プレッシャー世代が体験した出来事・カルチャー/その1・1994~1997年】

1994年(6歳〜12歳)
◎出来事
・リレハンメル五輪開幕(2月) ・ルワンダ虐殺(4月) ・ボスニア紛争、NATOによる空爆(4月) ・オウム真理教による松本サリン事件(6月) ・大江健三郎、ノーベル文学賞(10月)
◎カルチャー
・Mr.Children『innocent world』 ・広瀬香美『ロマンスの神様』 ・映画『シンドラーのリスト』
・ドラマ『家なき子』 ・ソニー『プレイステーション』発表

1995年(7歳〜13歳)
◎出来事
・阪神淡路大震災(1月) ・地下鉄サリン事件(3月) ・松本智津夫逮捕(5月) ・PHSサービス開始(7月) ・マイクロソフトWindows95発表(11月)
◎カルチャー
・DREAMS COME TRUE 『LOVE LOVE LOVE』 ・小室哲哉プロデュースブーム・書籍『ソフィーの世界』 ・アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』 ・安室奈美恵(アムラー)人気 ・女子高生ブーム

1996年(9歳〜14歳)
◎出来事
・エンデバー打ち上げ、若田光一が乗船(1月)・Yahoo! JAPANサービス開始(4月) ・O157集団食中毒(7月)・ビル・クリントン米大統領再選(11月) ・Apple、スティーブ・ジョブズが復帰(12月)
◎カルチャー
・Mr.Children『名もなき詩』 ・globe『DEPARTURES』 ・ドラマ『ロングバケーション』 ・アニメ『るろうに剣心−明治剣客浪漫譚−』 ・ルーズソックスブーム

1997年(10歳〜15歳)
◎出来事
・ペルー日本大使公邸占拠事件(4月) ・神戸連続児童殺傷事件犯人逮捕(6月) ・ダイアナ元皇太子妃事故死(8月) ・山一証券破綻(11月) ・地球温暖化防止京都会議開幕(12月)
◎カルチャー
・安室奈美恵『Can you celebrate?』 ・映画『もののけ姫』 ・映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』 ・プレイステーション黄金時代 ・たまごっち、ポケモンブーム

 

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