『アイアン・スカイ』

超異色SF映画『アイアン・スカイ』が本日、日本公開初日を迎えた。奇想天外な設定で世界的に話題を呼んでいる作品だが、本作はファンから1億円もの製作費を集めたという。その仕組みはどうなっているのだろうか?

その他の写真

『アイアン・スカイ』は、第二次世界大戦後、敗北したかに見えたナチス軍が月に逃げ込み、準備を整えて、2018年に地球を侵略しに帰って来る、という物語。

本作のブームはすでに映画の製作中から始まっていた。ネット上にプロットが公開されると、その内容が大きな話題を呼び、製作者たちは“クラウドファンディング”という方式を使って1億円もの大金を集めた。“クラウドファンディング”とは、資金の調達を不特定多数から少額で集める方式で、ネット環境が整った現在、この方式で様々な資金が調達されている。エンターテインメントの分野でも本方式を活用するケースが増えており、現在公開されている映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』も撮影資金の一部を“クラウドファンディング”で調達。また、旧作を再上映するためにネット上でチケット購入者を募り、一定数に達したら上映が実現する“ドリパス”も成功をおさめている。

これらの方式は、多数から資金を募るため投資のリスクが小さく、投資額によって試写会に参加できたり、映画のエンド・クレジットに名前が掲載されるなど「共に映画作りに参加している」という気持ちになれるのが大きな特徴だ。近年ではメジャーの大作映画でも“製作委員会”と称して複数の投資先から資金を募ることでリスクを分散しているが、“クラウドファンディング”はこれをさらにおし進めて“観客が本当に観たい映画”を資金問題をクリアすることで製作可能にしている。

多くの観客が「自分が資金を出してでも観てみたい」と思った『アイアン・スカイ』は、無事に完成した後も支持を集めており、予告編動画は4か月で1000万回再生を記録。すでに全世界40か国で公開が決定している。

『アイアン・スカイ』
公開中