東京セレソンデラックス『笑う巨塔』の出演者 東京セレソンデラックス『笑う巨塔』の出演者

人気劇団、東京セレソンデラックスの最終公演『笑う巨塔』が10月3日、東京・サンシャイン劇場にて開幕した。同日行われた公開稽古では、主宰であり脚本・演出・出演もこなす宅間孝行のほか、芦名星、斎藤工ら出演者が意気込みを語った。

1997年に旗揚げした同劇団。TVドラマ『花より男子』シリーズの脚本なども手がける宅間の紡ぎ出す世界は“笑って笑って、最後に泣ける”と評判を博し、徐々に人気劇団へと成長していった。2007年には劇団の代表作『歌姫』がTVドラマ化。演劇界のみならず広くその名を知らしめた。そんな劇団が12年の歴史に幕を下ろす。

最終公演となる今回は、とある病院を舞台にしたシチュエーション・コメディ。宅間が「わりと切ない作品でファンの方が増えたのですが、最後はぱーっとお祭り騒ぎで」と語ったように、タイトルからして『白い巨塔』ならぬ『笑う巨塔』だ。胃潰瘍で入院している鳶の親方一家、空腹で倒れた次期総裁を目指す代議士とその秘書たち、旧友を見舞いにきたその対立候補の代議士らが、行き違い・勘違いの交錯からとんでもないドタバタコメディを巻き起こしていく物語。鳶の親方の娘を演じる芦名はギャグを連発、思うようにことが進まず頭を抱える代議士秘書を演じる斎藤、人違いでプロポーズされ舞い上がる看護師長の松本明子ら、出演者の全力の演技に、劇場中が爆笑に包まれた。

公開稽古後の会見では、芦名が「すごくエネルギーを発散する舞台なので、皆さんにそれを感じていただいて、おなじ空気に包まれてもらえたら幸せ」と充実の表情を見せれば、松本が「自分の持っている力のレッドゾーンに振り切らないと、宅間さんの芝居には乗っていけない。コンマ何秒の違いで笑いの間がずれてくる。宅間さんの計算された台本は凄まじいです」と作品の魅力と手ごわさを語った。また自ら出演を志願し、オーディションを経て参加が決まったという斎藤は「舞台を通した後にみんな2キロくらい痩せてる。そのエネルギーは客席に伝わると思います。演劇を観ているというより“空間が楽しい場所”になると思うので、ぜひ体感しにいらしてください」とアピール。宅間も「今回は飲食もOKにしました。飲んでください、食べてください。開演時間前も、日替わりでキャストが出てきてお客さんと触れ合える時間を作ります。入った瞬間からアミューズメントスペースにしたい。ぜひ遊びにきてください」と“お祭り騒ぎ”宣言。多くのファンの心を掴んだ東京セレソンデラックスが打ち上げる最後の花火、お見逃しなく。

出演はほかにデビット伊東、金田明夫ら。公演は10月28日(日)まで同劇場にて。その後11月1日(木)から4日(日)に北海道・道新ホール、11月7日(水)に新潟市民芸術文化会館 劇場、11月13日(火)から18日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、11月22日(木)に広島・アステールプラザ 大ホール、11月24日(土)・25日(日)に福岡・キャナルシティ劇場、11月28日(水)から12月2日(日)に愛知・名鉄ホールでも上演。