2005年決勝前夜祭に臨んだ千葉・イビチャ・オシム監督とG大阪・西野朗監督  撮影:新関雅士 2005年決勝前夜祭に臨んだ千葉・イビチャ・オシム監督とG大阪・西野朗監督 撮影:新関雅士

サッカー界では、「リーグ戦とカップ戦は別物」と言われている。約9か月にわたる長く険しいリーグ戦と、決勝トーナメントに入ると試合間隔が広がり、決勝を除き大半のゲームで日本代表を欠くリーグカップの成績は、決して比例しないというわけだ。

ヤマザキナビスコカップ 開催情報

事実、過去19大会でリーグ戦とヤマザキナビスコカップの二冠を達成したシーズンは3度しかない。組み合わせの妙もあるが、リーグ戦1位と2位によるファイナルとなると1度しか実現していない。対して、16チーム以上がリーグ戦に参戦した1996年以降、リーグ戦で2ケタ順位のチームがナビスコカップファイナルに進出したのは8度もある。今季、ベスト4のJ1リーグの順位を見ると(第27節終了時点)、清水エスパルスの6位を筆頭にFC東京8位、柏レイソル9位、鹿島アントラーズ13位となっている。さらに2008年王者・大分トリニータと2009年覇者・FC東京が翌年J2降格の憂き目に遭うなど、ありがたくないジンクスまでサポーターの間で囁かれもした。

2005年、G大阪をPKで下し、ジェフ千葉を優勝に導いた当時のイビチャ・オシム監督は「リーグ戦とカップ戦は違うもの。リーグ戦は高い質を維持することが求められるが、カップ戦は多かれ少なかれ運が左右する面がある」と本質を見抜いている。名将は決勝前夜にこうも言った。「G大阪はリーグ戦でずっと首位にいるが、リーグ戦の気持ちを一瞬にして切り替えて明日の決勝に臨めるかがポイントになる」。

もちろん、リーグ戦中位・下位チームがナビスコカップで有利だというわけではない。ただ、リーグ戦がマラソンの適性が求められるのに対し、ナビスコカップ、特に決勝では短距離の爆発力が求められるのだ。強いだけではJリーグカップの女王は、微笑まない。

ヤマザキナビスコカップは10月13日(土)に準決勝が行われ、第1戦を2-1で勝利したFC東京は敵地で清水と、同じくホームで3-2と先勝した鹿島は柏のホームに乗り込み、2年連続決勝を目指す。チケットは発売中。