中村 中 中村 中

オフ・ブロードウェイ発の傑作ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演が10月、生みの親であるジョン・キャメロン・ミッチェル主演で東京、大阪にて上演される。

ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演 チケット情報

日本では過去に三上博史、山本耕史、森山未來が主演を務めて上演を重ね、熱狂的な支持を得てきた衝撃の舞台だ。トランスジェンダーのロックシンガー、ヘドウィグは苦悩の中に己の存在理由を問い、自身のカタワレ(=愛)を求めて珠玉のナンバー(作詞・作曲スティーヴン・トラスク)を歌い叫ぶ。その巡業のステージにヘドウィグとともに立つのが、イツァークである。今回、2007年の山本耕史版ヘドウィグに出演した中村 中が、10年ぶりにイツァーク役としてジョン・キャメロン・ミッチェルと息を合わせることとなった。

「嬉しくて小躍りしたい気持ちです。ジョンとは、2008年にやったライブ(山本耕史主演『ヘドウィグ~』ツアーファイナル大打ち上げLIVE~「ジョンも来るよ!」)で一緒のステージに立っているんですが、その時に私が持っていた扇子をプレゼントしたんですね。「今も大切に持っているよ」とメッセージをいただいたりして…。運命の再会だなと感じます」

イツァークはドラァグクイーンとして華やかに着飾ることをヘドウィグに禁じられている人物で、どの国においても抜群の歌唱力を持つ女優たちが演じてきた役である。この役を与えられた10年前、中村は「戸惑いの中にいた」と率直な思いを語った。

「歌手デビューをした年に、トランスジェンダーであることをカミングアウトしたんですね。その悩みの渦中にいたし、これは、“本当の自分は何なのか”を突きつけられる物語じゃないですか。自分というものが曖昧だった当時は、己と対峙するというテーマに戸惑いを感じていました。でも、イツァークもドラァグクイーンに憧れながらもなれないという迷いの渦中にいて、“自分の生き方”を求めている人。ある意味私にぴったりの役だったのかな…と、今になって思うんです」

10年後の今なら自信を持って演じられるかと問うと、さらに正直な、自身をしっかり見つめた答えが返ってきた。「その戸惑いが減った分、できた隙間でこの役を愛せるとは思います。でも逆に当時の未熟な部分が、イツァークという役には必要だったのかも…と思うと、今ではもうできなくなっていることもあると思います。そうやって演じ手によって役が変化していくのも演劇の面白味だと思います。いつやっても答えはない、ということかと」

きっと中村やジョンのみならず、劇場に集まった“ヘドヘッド”(熱烈なファンの呼称)の誰もがカタワレを探す旅となる舞台。『銀河英雄伝説』舞台シリーズを手掛けたヨリコジュンの演出にも注目したい。

「自信を持って生きられる!という夢を見させてくれる物語です。その世界に飛び込んで、音楽にのって踊りに来てください」

チケットぴあでは10月13日(金)追加公演(東急シアターオーブ)のインターネット先行抽選を実施中。

取材・文 上野紀子

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