舞台あいさつに出席した倍賞千恵子

 「女優・倍賞千恵子」特集上映『水溜り』舞台あいさつが6日、東京都内の神保町シアターで行われ、倍賞千恵子が出席した。

 国民的大人気シリーズ映画『男はつらいよ』で寅さんの妹・さくらを長年に渡って演じ、人気を不動のものにした倍賞千恵子。特集上映では、「倍賞千恵子にスクリーンで出会えてよかった」と思える厳選された17作品を上映している。

 『水溜り』の本編上映後に登壇した倍賞は「あれから56年後の私です。若い頃の私を楽しんでいただけていれば」とちゃめっ気たっぷりにあいさつ。本作が渥美清との初共演となったものの、実は「しばらくあの役が渥美さんだとわからなかったんです。だいぶ経ってから何かのインタビューのときに聞かされて、そう言えばそうだったとわかったんです」と明かし、訪れた往年のファンを驚かせた。

 これまで出演してきた170本の映画のうち実に48本が『男はつらいよ』となることから「だいたい3分の1がそう。『男はつらいよ』自体が私にとっての人生」と言い切り、「日本人の情や人間としてのあり方、どう生きていくか。そういういろいろなものを学んだ。さくらさんを演じる上で学ぶことも学んだし、演じることも学んだ映画」と自身にとっての存在の大きさをしみじみと語った。

 そのほか、高倉健との初共演の思い出や長年タッグを組んでいる山田洋次監督との出会い、『愛の讃歌』撮影前に行った「失恋の思いを抱えた冒険の一人旅」エピソードなどを当時の作品とともに振り返った。また、今後についても「正直170本でいいかなと思っていたんだけど、来年2本ばかりやりたいと思うものがある。いろいろな人と出会って楽しく生きていければ。それが女優人生かなと思っています」と晴れやかな笑顔を浮かべていた。