ベッド&メイキングス 左から富岡晃一郎、福原充則 (撮影:源賀津己) ベッド&メイキングス 左から富岡晃一郎、福原充則 (撮影:源賀津己)

劇団500歳の会『いつか見た男達 ~ジェネシス~』 の演出や月影番外地『くじけまみれ』の脚本など様々な舞台の作・演出だけでなく、テレビドラマ『ティーンコート』や映画『琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ』などの脚本でも活躍する福原充則。舞台『スペーストラベラーズ』や早乙女太一の劇団朱雀への参加など、活動の場を広げている俳優・富岡晃一郎。このふたりが結成した劇団、ベッド&メイキングスの第2回公演『未遂の犯罪王』が11月に上演される。稽古場を訪ね、話を訊いた。

物語の舞台は閉園の決まったさびれたウエスタン村。大した仕事もない役者たちは、数えきれないほど繰り返し演じてきた銀行強盗ショーを実行に移そうとする。今年2月の第1回公演『墓場、女子高生』が若くみずみずしい女性中心のキャストだったのに対し、今回は男くさいメンバーが顔を揃える。オーディションで選んだ面々について「10年以上芝居をやっていると、いつか一緒にやってみたい役者さんが増える一方。オーディションは、そういう人と出会い直したいという気持ちもある」と福原が語れば、「僕は福ちゃんのつくる作品が好きだから、好きな役者さんと福ちゃんの作品との組み合わせが見てみたい、というお客さん目線も大きいんです」と富岡が笑う。

30代半ばの今、自ら劇団を立ち上げ、公演を重ねる理由についてふたりは「いろんな仕事の現場で全力を尽くしたときに得た知識や技術をフィードバックする場がほしかった」と口を揃える。とくに福原は前回公演を終えた後、その思いを強くしたのだという。「今までは限界を勝手に決めて、劇団を大きくしようなんて思いもよらなかった。でも、経験を積んで自分たちが楽しいと思える作品を、今までよりもっと幅広いお客さんに伝えられるんじゃないかと」。そして冗談交じりながらも「いつか武道館でやりたいです」と宣言した。

「“ダメ人間を愛おしく見てください”ではなく、成功しようが失敗しようが、何かに向かってちゃんともがいている男たちを描きます」と福原。富岡は「福ちゃんの、華やかさとアングラっぽさが同居した見せ方が盛り込まれ、役者がやっていて楽しい舞台になりそう。この劇団のコンセプトは“サルでもわかる哲学”。生きていくうえに役立つような作品になる」と話す。ベッド&メイキングスが描く男たちがどんな顔を見せるかを楽しみに待ちたい。

ベッド&メイキングス『未遂の犯罪王』は、11月10日(土)から18日(日)まで東京・すみだパークスタジオ 倉にて上演。チケット発売中。

取材・文:釣木文恵