ジョナサン・ノット photo by Thomas Mueller ジョナサン・ノット photo by Thomas Mueller

東京交響楽団・次期音楽監督の発表記者会見が10月10日にミューザ川崎で行われた。第3代音楽監督には英国人指揮者のジョナサン・ノットが就任する。任期は2014年9月より3年間。

「東京交響楽団」の公演情報

1962年生まれ、現在49歳のジョナサン・ノットは、ドイツのバンベルク交響楽団の首席指揮者を務めているほか、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、シカゴ響、ロサンゼルス・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管など、世界の名門オーケストラから引く手あまたの指揮者。古典から現代音楽まで膨大なレパートリーをもっており、プログラミングの巧みさが魅力のひとつだ。

これまでの東京交響楽団との共演は、2011年10月に行われた定期演奏会の1度のみ。ドビュッシーの「夜想曲より“シレーヌ”」、シェーンベルクのピアノ協奏曲 作品42(ピアノ:小菅優)、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」(全曲)を指揮したが、このたった1度の共演がまさに「運命の出会い」になった。

記者会見でジョナサン・ノットは「東京交響楽団との初共演は昨年でしたが、特別な絆をはっきりと感じました。もちろん、そのときオーケストラが音楽監督を探しているとは全く知りませんでした。しかし、5日間オーケストラと一緒に音楽作りをした結果、今日ここに至っている訳です」と運命の出会いを振り返る。

「私は『指揮者の役割とは何か』とよく自分に問いかけます。正確なリズムを刻むこと、音程はあっているか、ボーイングは、音楽家が互いの音楽を聞くようにすること。答えはたくさんあると思います。でも最も重要なのは、『音楽家たちが、指揮者がいなければ絶対にしないようなリスクを取る』ということではないでしょうか? リスクを取らなければ得られないような冒険、私が最後にそれを感じ、行動をしたのがバンベルク交響楽団とでした。(彼らとも)一度共演しただけで一緒に音楽の旅に出ようと思いました。それから12年経ちますが、まだその旅は続いています。東京交響楽団ともこれから良い旅に出て、ともに楽しい時を過ごせればと願っています」と抱負を述べた。

近年の東京交響楽団は、2004年から音楽監督を務めているユベール・スダーンのもと、古典から後期ロマン派までの作品を体系的に取り上げ、アンサンブルの質を飛躍的に向上させてきた。音楽評論家やファンから高い支持を得ており、そこにジョナサン・ノットの豊かな発想による音楽作りが加わることで、さらに鮮やかに花開きそうだ。

ジョナサン・ノットの次回出演は、2013年10月13日(日)のサントリーホール公演。チケットの一般発売は2013年6月3日(月)を予定。