『レ・ミゼラブル』製作発表より 『レ・ミゼラブル』製作発表より

日本でも1987年の初演以来上演を繰り返しているミュージカル『レ・ミゼラブル』。ミュージカルの金字塔とも呼ばれ、大作ミュージカルの代名詞ともなっているこの作品が、来年の上演から装いも新たに“新演出版”として登場する。10月15日、山口祐一郎らその新『レ・ミゼラブル』に出演するキャスト68名が一堂に会し、製作発表を行った。

ヴィクトル・ユゴーの原作を元にした本作は、19年の刑に服したのち脱獄、次第に善に目覚めて行く主人公ジャン・バルジャン、彼を追い続ける刑事ジャベール、さらにその日生きるのもやっとの民衆たちや、革命に燃える学生たちの姿を流麗な音楽で紡いでいく群像劇。1985年のロンドン初演から全世界で上演され、世界での観客総数は6000万人に迫るという、まさに演劇史を代表する名作だ。この作品が舞台装置、照明、音響、衣裳からキャラクターの描き方まで一新、新演出として生まれ変わる。

新演出にともない、全キャストがオーディションで決定。この日は応募総数15000人という激戦の中、役を勝ち取った出演者が披露された。ジャン・バルジャン役は、同役を1997年から務めている山口祐一郎と、劇団四季で多くの主要キャラクターを演じた後、母国韓国のミュージカル界で華々しく活躍しているキム・ジュンヒョンのダブルキャスト。山口は「まったく新しい演出家の方で、どうすればオーディションを突破できるのか、当日は(役に合わせて)髭はあった方がいいのか剃った方がいいのか、にこやかにしていた方がいいのか真面目な顔をしていた方がいいのかと迷うくらいに、ドキドキして受けました」とその厳しさを振り返り、キムは「日本の『レ・ミゼラブル』に参加できて本当に嬉しい。難しい役だと思いますが、みんなで力をあわせてお客さんに感動を与えられる作品を作るために頑張ります」と喜びを語った。

また革命運動に身を投じる学生マリウスに恋をする少女エポニーヌ役で本作に初参加する平野綾が「この場に立てる喜びと緊張で、泣いてしまいそう。ミュージカル出演は2作目で圧倒的に経験値が足りないので、まわりのみなさんに食らいついていきたい」と語るなど、感無量のコメントを口にする出演者も多数。出演者全員の『レ・ミゼラブル』という作品への思いがひしひしと伝わってくる製作発表だった。このメンバーで贈る新生『レ・ミゼラブル』の誕生を楽しみに待ちたい。

出演はほかに吉原光夫、川口竜也、知念里奈、笹本玲奈、山崎育三郎、森公美子ら。すべての役がダブルキャスト、トリプルキャストになっている。公演は5月3日(金・祝)から7月10日(水)まで東京・帝国劇場(4月23日(火)よりプレビュー公演あり)、8月3日(土)から31日(土)まで福岡・博多座、9月7日(土)から23日(月・祝)まで大阪・フェスティバルホール、10月1日(火)から20日(日)まで愛知・中日劇場にて行われる。東京公演のチケットは4・5月分が2月9日(土)、6・7月分が3月16日(土)に一般発売を開始する。