「アニメーションの女王たち ディズニーの世界を変えた女性たちの知られざる物語」が発売中。

ディズニー・アニメーションの歴史を、知られざる女性アーティストたちの視点を通して辿る一冊をレビュー。

ディズニーが追い求める「多様性」の歴史

ディズニーパークではキャストの行動基準「SCSE」が定められています。

「SCSE」とは、安全(Safety)を最優先に、礼儀正しさ(Courtesy)、ショー(Show)、効率(Efficiency)と、キャストが優先して行動すべき基準を定めたものです。

65年前から定められていた行動基準に、新たに「多様性」(Inclusion)が加わることが発表されました。

ディズニーは今までに増して多様性を重要視しています。

では、ディズニーの歴史において多様性はどのように確立されてきたのでしょうか。

これは、女性という視点からディズニー・アニメーションの変遷を追った濃密な歴史書です。

“セルロイドの天井”を突き破った女性たちの物語

本書では、最初の長編アニメーション『白雪姫』から、『アナと雪の女王』までをつぶさに見ていきます。

『白雪姫』が製作されていたような、アニメーションの初期時代、女性の役職は主に彩色担当でした。

セルアニメーションにおいて、セルに色を塗る仕事を主に女性が担っていました。

これは、よく語られていた歴史です。

しかし、それはストーリーや原画部門に女性がいないことを示しているものであり、その部門にもごく僅かに女性がいたことが、彼女たちの歴史として語られます。

他のスタジオに比べれば比較的女性を登用していたと言われるディズニー・スタジオ、そしてウォルト本人でさえ女性への偏見を隠せない時代に、ただ1人ストーリー部門に入った女性ビアンカ・マジョーリー、そして翌年入社したグレイス・ハンティントン。

ガラスの天井ならぬ“セルロイドの天井”を突き破った彼女たちの物語です。

『白雪姫』『シンデレラ』などディズニーを支えた初期のディズニープリンセスの成り立ちに、女性たちの存在がどれだけ重要だったかが伝わってきます。

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