子どもがおもちゃを片づけないときや、いつまでも公園遊びを止めないとき、つい親の口から出てしまう「なんで片づけないの!」「どうしていつまでも遊んでいるの!」などという言葉。

そう言われても、子どもはそうしている理由を答えることが出来ず固まってしまいます。

こんなときはどうしたらよいのでしょうか。

「1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ」 の著者の立石美津子がご紹介します。

ある幼稚園の先生の対応

発達の遅れている子がいました。4歳になっても手づかみで食事したり、他の子のお弁当に好みのものがあると、つまんで食べようとしたりしていました。

そんなとき、先生は

「何で他の子の水筒から飲むの!」

「お友達のお弁当を食べては駄目でしょ!」

とは絶対に言いませんでした。

その先生は子どもを否定するのではなく、肯定形で何度も何度も根気よく、

「◯◯君は“◯◯”と名前が書いてあるこの水筒から飲もうね」

「◯◯君のお弁当箱に入っているものだけ食べていいんだよ」

と、丁寧に教えていました。

子どもたちは大人の言動を実によく観察しています。理由を追及する言葉ばかり言っていると、周りの子も先生の「なんで」「どうして」という言葉を真似します。

実際に家庭内で親から毎日言われているのか、この言葉が多い子もいました。

でも、子ども達は担任の先生の肯定形で伝える言葉を真似して、水筒や弁当箱からお茶やおかずを取られても、「なんで、どうして」と怒らず先生の真似をして「自分の水筒から飲むんだよ」と教えるようになりました。先生の背中を見て学習しているのですね。

家庭ではどのように伝えたらいい?

でも、親としては年中無休の子育ての中、ついわが子に「なんでいつもそうなの」と口走ってしまうこともあると思います。

でも、子どもはどうしようもありません。

その言葉はグッと胸の中にしまい、子どもに“やってほしい行動”を具体的に口に出して伝えましょう。

いつまでも片づけないとき

「おもちゃを元あった場所に戻してね。何秒で片づけられるかな?」

「おもちゃ達もそろそろ休憩したいみたい。おうちに戻してあげよう」

お茶をこぼした時

「さあ、急いで雑巾で拭こう」

自分がやってしまったことの後始末をさせると、次から気を付けるようになります。

公園から帰りたがらないとき

「あと2回滑り台滑ったら帰る?3回滑ったら帰る?」

(子どもが時計を読めるなら)「4時まで遊ぶ、4時10分まで遊ぶ」

選択肢を与えられ、自ら選んだものは、人から「こうしなさい」と言われたことより従うものです。

食べ物を好き嫌いするとき

例えばひじきを食べない子。

ひじきは海草で漢字は“鹿尾菜”ですが、子どもは“ひじ木”と「木の枝を食べさせられている」と思っているかもしれません。

そんなときは

「そうか。食べたくないんだ。うん、わかる、わかる。嫌だよね。ママも苦手なものあるよ。でも、でも一かけらだけ食べてみようか」

共感してもらえると、人は従いたくなるものです。また無理強いすると食事は辛いといトラウマになってしまうので偏食指導はほどほどにしましょう。

いつまでも泣いているとき

「悔しいんだね。泣き終わるまでママは待っているからね」

沸きあがる感情はいったん出さないと収まらないものです。

無理に感情を抑える癖は付けないようにしましょう。