資産形成の仕組みを伝えるメディアが増えてきたことで、少額でいつでも売買できる「つみたてNISA」の手軽さに興味を持ち、証券口座を開設する人が増えています。

特にネット証券は、自宅にいながら24時間いつでも口座開設ができることや、手数料が低いなどの理由から人気があり、口座開設率が伸びています。

しかし、いつでも売買ができる「つみたてNISA」は短期間で売買する人が多く、いまだ積み立てのメリットを享受されていない人もいます。

積み立て投資の成功カギは、なんといっても「長期間継続」することです。

長期間で「積み立て投資」をするメリット

資産がないところから貯蓄や投資でコツコツと資産をつくりあげていくことを「資産形成」といいます。

コツコツ積み立てる投資は、いきなり資産が大きく増えることはなく、時間がかかりますし根気が必要です。

「つみたてNISA」は投資信託で積み立てるわけですから、個別の企業にではなく、経済に投資をすることになります。

長期間、経済に投資をし続けるということは、時にはリーマンショックやコロナショックのような出来事に合うかもしれませんし、価格の上げ下げは必ず経験します。

実は、積み立て投資のうまみを得るためには、この価格の上げ下げがとても大切なのです。

金融庁HPの「時間(時期)の分散」(ドル・コスト平均法)の例より

こちらは、金融庁のHPにある投資の基本「時間(時期)の分散」から抜粋したものです。価格が段々下がるにしたがって、購入個数が増えています。

毎月のように定期的に購入できるようにしておけば、価格が下がった時を見逃さずに済み、専門家のように毎日チャートをチェックする必要もありません。

長期間で積み立て投資をするからこそ、最終的に口数を多く購入することにつながります。

仮に12月に売却した場合の利益について考えてみましょう。

【ポイント解説】資産額=購入口数×価格

12ヶ月間の購入口数の合計:27,123口
12ヶ月目の価格:5円
12ヶ月目で売却した場合:135,615円 = 27,123口 × 5円

購入開始時より売却時の1口あたりの価格は下がっていますが、毎月1万円の12ヶ月の投資額12万円に対し、売却時には15,615円増えています。

積み立て投資は、価格が下がった時に購入できる口数が多くなるので、価格の低いときに買った分の値上がりで高いときに買った分の値下がりがカバーされたのです。

最終的に少しでも上昇すればいい

行動経済学で「損失回避の法則」というものがあります。人は得るものより失うことの方が、心理的ダメージを大きく感じる傾向にあり、損を避けようとするのです。

そのため価格が下落した時に、これ以上マイナスになってしまうのではと不安になり、投資を辞めてしまうことがあります。

しかし、価格が下がったときこそチャンスという気持ちで継続することが大切です。

なぜなら、積み立て投資は下落時に辞めてしまうと損してしまいますが、最終的に少しでも上昇していればプラスになるからです。この仕組みを知っていると、下落時にも落ち着いて継続することができます。

最終的に少し上昇するだけで結果が変わる(筆者作成)

【ポイント解説】 資産額=購入口数×価格

(1)6か月目で売却した場合

6ヶ月間の購入口数合計:138口=50口+25口+16口+12口+10口+25口
6ヶ月目の価格:400円
6ヶ月目で売却した場合:55,200円 = 138口×400円

(2)7カ月目で売却した場合

7ヶ月間の購入口数合計:158口 = 50口+25口+16口+12口+10口+25口+20口
7ヶ月目の価格:500円
7ヶ月目で売却した場合:79,000円 = 158口×500円

毎月1万円を6ヶ月投資して、価格が下がった6ヶ月目に売却すると、4,800円損してしまいますが、7ヶ月目に売却すると9,000円の利益が出ています。

積み立て投資は、価格が下がったときに辞めてしまうと損してしまいますが、最終的に少しでも上昇していれば利益が出やすいのです。

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