『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)≪音楽家たち≫1597年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1952 / 52.81

展覧会の日時予約制も定着し、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるアート界。2022年こそは予定されている全ての展覧会が、滞りなく開催されますように!という願いを込めて、2022年のアートな話題をたっぷりとお届けします。

※新型コロナウィルスの影響により、各展覧会の会期等が変更になる可能性があります。詳細は各展覧会の公式HPなどでご確認下さい。

フォトギャラリー2022年、絶対に押さえておくべきアートトピックスの写真をもっと見る
  • 『ミロ展―日本を夢みて』ジュアン・ミロ 《絵画(カタツムリ、女、花、星)》 1934年 油彩、キャンバス 国立ソフィア王妃芸術センター Photographic Archives Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia, Madrid
  • 『没後50年 鏑木清方展』 鏑木清方《築地明石町》1927年 東京国立近代美術館
  • 「ボストン美術館所蔵 『THE HEROES 刀剣×浮世絵―武者たちの物語』」 歌川国芳《小子部栖軽豊浦里捕雷》 天保5-6年(1834-35)頃 Bequest of Maxim Karolik Photographs
  • 『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』葛飾北斎《流水に鴨図》一幅 江戸時代 弘化4年(1847) 大英博物館 1913,0501,0.320
  • 国宝 《太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)》 東京国立博物館蔵 渡邊誠一郎氏寄贈 平安時代・10~12世紀

【TOPIC1】やっぱり見ておかなきゃ、フェルメール!

『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』ヨハネス・フェルメール≪信仰の寓意≫ 1670-72年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam, 1931 / 32.100.18

17世紀オランダを代表する画家、フェルメール。おだやかな光の表現を特徴とするフェルメールの作品は、日本でも非常に人気が高い。しかしながら、現存する作品は三十数点と非常に少なく、実際の作品を見ることはなかなか難しいことでも知られている。

そのフェルメールの作品が、2022年は2点も来日。『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』(国立新美術館:2/9~5/30)で見られる《信仰の寓意》 は、抽象的な概念を擬人化した「寓意画」で、風俗画を得意とするフェルメールとしては珍しい作品。本作では「信仰」を擬人化した女性の姿が描かれている。

『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復前) 1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館 ©Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Wolfgang Kreische

また、東京都美術館で開催される『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』(※1/6追記:新型コロナウイルス感染拡大の影響により東京都美術館での展覧会は開幕延期、北海道立近代美術館:4/22~6/26、大阪市立美術館:7/16~9/25、ほか宮城にも巡回予定)では、修復後の《窓辺で手紙を読む女》が公開される。

フェルメール初期の傑作とされる本作だが、X線調査でかつてこの絵の壁にはキューピッドが画中画として描かれており、それが塗りつぶされていることが判明。

大規模な修復プロジェクトによってそのキューピッドがふたたび現れることとなった。フェルメールが描いた本来の姿に修復された《窓辺で手紙を読む女》は、所蔵館でのお披露目に次ぐ公開となる。

もちろん、両展覧会ともフェルメール以外の作品も魅力的。『メトロポリタン美術館展』では、ルネサンスから19世紀までの西洋絵画の歴史500年を同館の傑作でたどることができ、『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』では、ドレスデン国立古典絵画館の17世紀オランダ絵画の傑作を鑑賞できる。どちらも見逃せない展覧会だ。

【TOPIC2】新美術館&パワーアップ美術館は要チェック

大阪中之島美術館 外観

2022年も新しい美術館がオープン。大阪中之島美術館は、構想発表が1983年、準備室開室が1991年という、時間をたっぷりかけて作られた待望の美術館。

すでに6000点もの作品を収蔵しており、開館記念展となる『Hello! Super Collection 超コレクション展―99のものがたり―』(2/2~3/21)は、400点の代表的な作品を選び3章にわけ一堂に公開する。

生まれたばかりであるにもかかわらず、上質なコレクションを持つ大阪中之島美術館の今後に期待しよう。

『開館記念Hello! Super Collection 超コレクション展―99のものがたり―』アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》 1917年、大阪中之島美術館

また、2022年は長期間の休館を経て、パワーアップして再オープンする美術館も多い。2020年から休館している国立西洋美術館は、建物自体の改修とともに、本館の前庭を創設当初の姿に戻す工事を行っている。

リニューアルオープン直後の2つの小企画展『ル・コルビュジエ晩年の絵画と素描(仮称)』(4/9〜9/19)、『新収蔵版画コレクション展』(4/9〜5/22)のあと、リニューアル記念展として『自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』(6/4〜9/11)が開催される。

1992年に開館、長らく愛されてきた静嘉堂文庫美術館は、2021年6月に世田谷区岡本での活動を終え、今年10月より東京丸の内の明治生命館1階に移転オープンする。

展示面積が1.5倍となった新美術館で開催される最初の展覧会『静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念 響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき(仮)』(10/1~12/18)は、国宝《曜変天目(稲葉天目)》はもちろん、所蔵する7件の国宝すべてを展示するという豪華な展覧会だ。

泉屋博古館東京 外観

住友家旧蔵の美術品を保存、公開するために設立された泉屋博古館(京都)の分館として2002年に東京・六本木に開館した泉屋博古館分館は、「泉屋博古館東京」と館名を改称、今年3月に再開館する。

『リニューアルオープン記念展Ⅰ「日本画トライアングル」』展(3/19〜5/8)では、住友家がコレクションしていた大阪、京都、東京で活躍した日本画家の作品を展示し、地域に根ざした日本画の魅力や多様性を紹介する。

『再開記念展 松岡コレクションの真髄』 伝 周文《竹林閑居図》 後期展示 3/8(火)~4/17(日)

実業家、松岡清次郎のコレクションを保存・公開する松岡美術館は、約2年8か月の休館を経て今年1月、リニューアルオープン。『再開記念展 松岡コレクションの真髄』(1/26〜4/17)では、横山大観、渡辺省亭らの花鳥画から古代ギリシア・ローマの大理石彫刻など美術館を代表する作品を展示する。

また、重要文化財 伝 周文《竹林閑居図》(3/8より公開)は、修復後初の公開となる、見逃せない傑作だ。