黒いスープにニラの緑が映える「サンボク韓方タッカンマリ」のタッカンマリ

NHKBS1で放送されたドキュメンタリー『突撃!ストリートシェフ』ソウル編には5軒の個性的な店が登場した。

美味しそうな店ばかりなので、行ってみたくなった人も多いのではないだろうか? 今回はその5軒の店の情報をお送りしよう。

※『突撃!ストリートシェフ』は、2月11日(土)12時~と、2月20日(月)13時から再放送予定。

フォトギャラリー韓国現地の人が太鼓判!『突撃!ストリートシェフ』ソウル編に出ためちゃウマグルメ
  • 混ぜ物のない緑豆粉で作った生地を崩さずに鉄板でひっくり返すのは容易ではないが、「チョンイルチプ」の女将は余裕でこなす
  • 「チョンイルチプ」の女将、イム・ヨンシムさん
  • 味だけでなく見た目も美しい「ソルヌン」の平壌冷麺
  • 「我が家は祖母の代から飲食店を経営してきました。『ソルヌン』では北朝鮮で作っていたものをそのまま提供しています」(ムン・ヨンヒさん)
  • 「ソルヌン」のオーナー、ムン・ヨンヒさんのご主人はソウルの飲食店で働いていた日本人。二人は昨年末、お店を家族に任せて日本に移住した

ピンデトック一筋72年の「チョンイルチプ」(延新内)

混ぜ物のない緑豆粉で作った生地を崩さずに鉄板でひっくり返すのは容易ではないが、「チョンイルチプ」の女将は余裕でこなす

ソウルの広蔵市場ではユッケや麻薬キンパと並ぶ名物ピンデトック(緑豆チヂミ)。

朝鮮戦争後、荒廃した韓国では油で焼いたピンデトックは貴重なエネルギー源であり、庶民のささやかな楽しみだったマッコリのつまみでもあった。

鍾路の路地裏には、ピンデトックを出す一杯飲み屋が多かった。「チョンイルチプ」はその鍾路で1945年に開業した。その後、店はソウル北西部の延新内(ヨンシンネ)駅前に移転したが、今も変わらずピンデトックを焼き続けている。

2代目女将イム・ヨンシムさんが、水でふやかした緑豆を石臼でおろし、そこにタマネギやキャベツ、ネギのみじん切りを加えて生地を作っている。

「チョンイルチプ」の女将、イム・ヨンシムさん

鉄板にしく油はかつては豚肉からとっていたが、ヘルシー志向の今は豆の油を使う。注文を受けるとイムさんがキムチや豚肉や海鮮を加えてこんがりと焼く。

油で揚げるように焼く広蔵市場のピンデトックとは形も食感もちがう。淡泊で香ばしい、オールドスクールなピンデトックを日本の人にもぜひ味わってもらいたい。

「チョンイルチプ」の店舗は延曙市場(ヨンソシジャン)の中にある。この市場は石井裕也監督の映画『アジアの天使』(2021年)に登場した

恩平区仏光洞310-11延曙市場A棟1階24号 ※地下鉄3号線・6号線「延新内」駅2番出入口から徒歩1分
14:00~21:00 無休

冷麺は今の平壌の味「ソルヌン」(瑞草洞)

味だけでなく見た目も美しい「ソルヌン」の平壌冷麺

北朝鮮から韓国に亡命してきたムン・ヨンヒさんが、高麗ホテル(平壌)のレストランで料理をしていたお母さんといっしょに始めた冷麺専門店だ。

スープは牛肉、豚肉、鶏肉、牛骨、豚骨の5種類の材料を煮込んだダシが決め手。そのダシを冷やし、裏ごししたスープはコクとキレを兼備している。

蕎麦の実の皮には食物繊維と栄養が豊富なので、麺は皮ごと製粉している。麺が黒っぽいのはそのせいだ。

ジャガイモの澱粉を混ぜてあるので、普通の蕎麦冷麺よりコシがある。

茹でた麺を冷水で何度も洗って器に丸く盛り、その上に牛肉、豚肉、鶏肉、キュウリ、ダイコンの薄切り、錦糸卵など10種類がトッピングされる。

ソウルには乙支路辺りに朝鮮戦争避難民が経営する冷麺専門店が点在しているが、この店の冷麺には、典型的な朝鮮美人ヨンヒさんの姿とも重なる華がある。

「ソルヌン」のオーナー、ムン・ヨンヒさんのご主人はソウルの飲食店で働いていた日本人。二人は昨年末、お店を家族に任せて日本に移住した

瑞草区瑞草洞(ソチョドン)1551-9 ※地下鉄2号線「瑞草駅」1番出入口から徒歩3分
11:00~15:00 17:00~21:00 土曜休