出産後、お風呂に入ると膣に水が入るようになったり、くしゃみなどをすると尿もれするようになったりするママは、多いもの。

なかなか人には言いづらい悩みですし、それほど深刻でなければ、日々の子育てに追われ、真剣になんとかしようとは思わないかもしれません。

尿もれは、少量から、パッドをあてなければ心配なほどかなりの量が出てしまうケースまで、症状はさまざまです。

尿もれするということは、骨盤底筋が衰えてきているということ。

たかが尿もれとあなどることは禁物です。この先、子育てから解放された頃になって、骨盤臓器脱(膣口から子宮、膀胱、直腸などの骨盤内の臓器が飛び出す状態)というおそろしい事態にもなりかねませんから、早いうちから気をつけておきたいものです。

いざそうなってしまったら、病院で手術するしかない、と思っている人は多いかもしれません。ですが、早めに「ある場所」へのケアを行えば、自分でなんとかできるという本が、昨年出版されました。50代以降の女性を中心に売り上げを伸ばし、すでに5万部に届く勢いだとか。

その名も『ちつのトリセツ 劣化はとまる』。助産院・産後養生院院長であるたつのゆりこさんの指導・監修のもと、編集者の原田純さんが、女性の身体、さらには性についてのご自身のそれまでの考えをひっくり返され、実際に起こった身体の変化について書かれた本です。

ケアの実践方法も詳しく載っており、衝撃的です。

ゆるみっぱなしのニッポンの現状!?

「妊婦さんや産後に!」というキャッチコピーで、尿もれ用のパッドが普通に販売される時代になりました。

それだけ尿もれに悩む女性は多いのでしょう。『産後ケアに関する意識調査』の調査結果では実に65%の女性が、産後、尿もれするようになったと回答しています。

ですが、本当に65%ものママが尿もれを経験しているのでしょうか。

普段、よほど仲が良くないと、ママ友同士の話題に尿もれが上がることはありません。そこで、筆者の友人のママグループにアンケートを依頼し、無記名で回答してもらいました。

その結果、75%ものママが産後、尿もれしたことがあるという結果が出たのです。分母こそ25名と少ないですが、これは上記の調査結果の65%をはるかに上回っています。内容が内容だけに、ある程度信じられる結果なのではないでしょうか。

尿もれする人としない人の分かれ道とは?

産後の尿もれの原因は、骨盤底筋の筋力の低下です。出産の際の会陰切開や、子宮の赤ちゃんの重み、出産時のいきみなどにより、骨盤底筋が大幅に痛んで、元に戻りきらないのです。

骨盤底筋は、出産回数が多ければ、それだけゆるみやすく、戻りにくいと思いがちですが、子どもを4人産んでも尿もれしない、という人もいます。彼女は韓国で出産し、産後ケア施設で、骨盤の引き締めや、遠赤外線の座浴式サウナで陰部を温めるケアなどを受け、なおかつ自分でも、骨盤底筋体操を日常的にしているそうです。

かと思えば、同じように4人産んで、尿もれする時はかなりの量が出てしまう、という人もいます。彼女は体操などはしていません。

となると、尿もれするかしないかの違いは、骨盤底筋体操をきちんとやっているかどうか、だけなのでしょうか。

骨盤底筋体操はわかりにくい?

先のママグループのアンケートでは、尿もれの対策として骨盤底筋体操をしていた人は、ごくわずかでした。

身体の他の部位とちがって、骨盤底筋は鍛えている感覚のわかりにくい筋肉です。「腹筋にばかり力が入ってしまう」という声を聞いたことがあります。

それに、腹筋を鍛えた場合などはそれなりに疲れや達成感が感じられますが、骨盤底筋の筋トレだとあまり感じられないような気がします。

その結果、体操が続けられず、もれるのがこわくてパッドを当てているだけになっている人も多いのでは?