キーワードは#共体験 #セルフコントロール #ハイコンテクスト文化
キヤノンマーケティングジャパン株式会社(代表取締役社長:足立正親 以下キヤノンMJ)の企業内起業ichikara Lab(イチカララボ)は、若年層マーケティング活動の一環として、若者とともに未来につながるヒントを探る「ワカモノスタディ」に取り組んでいます。このたび、現役高校生が編集を手掛けるエンタメ系フリーマガジン「chFILES」とともに、イマドキの若者が「共有」する背景をテーマにしたワークショップを開催し、現役大学生とディスカッションした内容をまとめたレポートを公開しました。
イマドキの若者が共有する背景とは?
「ワカモノスタディ」は、若者と恒常的にさまざまなテーマについて話し合いながら、変化のスピードの速い若者のトレンドや価値観、購買行動、ライフスタイルなどの裏側にあるインサイトを探索する活動です。このたび公開するレポートは「ワカモノスタディ」の第12弾で、「イマドキの若者が『共有する』背景とは?」をテーマに、若者自身も気づいていない深層心理を紐解いていくことで未来につながるヒントを探るものです。
近年急速に需要の高まりを感じるシェアリングサービスや、さまざまな機能を備えたSNSの登場により、個人間でも気軽に共有できる時代が到来しています。デジタルネイティブであると同時にソーシャルネイティブ※1でもある若者は、「『共有』への抵抗感が少なく、シェアリング体験に前向き」という印象を持たれることもありますが、イマドキの若者にとって「共有」とはどのような意味を持つのか、「共有」の背景にあるインサイトを分析しました。
※1.スマートフォンや、SNSを含むソーシャルメディアに幼少期から慣れ親しんでいること。
▼report12|イマドキの若者が共有する背景とは?
https://corporate.canon.jp/profile/business/new-value-creation/ichikaralab/wakamonostudy/report12
〈レポート結果〉
- 前提の整理:イマドキの若者にとって「共有」の対象とは?
まず若者が普段何を共有しているか調査したところ、「共有」する対象は多岐にわたることがわかりました。例えば、お互いが別の場所にいても一緒に勉強できるオンライン自習室を利用したり、連絡の手間を省くために位置情報を共有したりするなど、オトナ世代にとっては驚くような事例も多く挙がりました。
※2.自分好みのアバターを作成し、チャットや通話、投稿などを通じて他ユーザーと仮想空間上で交流できるプラットフォーム。
※3.韓国発の推し活文化の一つ。一般的には推し活の一環でファン同士や友達同士でプレゼントを贈り合うこと。誕生日やライブ、ファンミーティング※4の日などに手作りグッズやお菓子などを交換する。一見すると物の交換に思える行動だが、背景には「好き」という気持ちの共有があると捉えられる。
※4.ファンとの交流を目的としたイベントのこと。
- インサイト1:「共有」は仲良くなるために、欠かせないこと。人間関係も効率的?!
共有する内容や程度は人ぞれぞれでしたが、「極端に言えば何か共有しないと仲良くなれない」という意見が出るほど、若者の日常には「共有」する習慣が根づいていました。SNSは個人を紹介する名刺代わりという認識で、新しく知り合った相手を理解するためにはその人のSNSのアーカイブを見て理解を深める等、SNSを活用して効率的に人間関係を構築していることも分かりました。
- インサイト2:欲しいのは、人との「つながり」
程度の差はあっても、「人とのつながりを求めている」という意見が多く出ました。一般的に、イマドキの若者はSNSを上手に活用して人との「つながり」を構築している印象があります。オトナ世代の中には「現代の若者は承認欲求が強い」というイメージを持つ人もいるかもしれません。それに対して、「自分の投稿に反応があればもちろん嬉しいし、『いいね』をくれた人に『いいね』を返すこともある。でもSNSの投稿は誰かにリアクションをもらうことが全てではなくて、投稿して満足することもある。いつでも何にでも反応が欲しいわけではない。」という意見がありました。またSNSの種類や機能が増えていることに対して、「求めているのは人との『つながり』であって一度にたくさん共有したいわけではなく、過剰な機能追加はできることが多すぎて逆に疲れる。少し余白がほしい。」という意見もありました。
オトナ世代が考えているよりも、若者はSNSの活用に関してシンプルに捉えており、人との「つながり」を構築する効果的なツールと考えていることが分かりました。
- インサイト3:一体感を、味わいたい。
友人と勉強時間数を共有したり、オンライン自習室を活用して一緒に勉強をしたりするなど、同じ時間や空間を共有しながら切磋琢磨する学生らしい共体験※5のエピソードが多く出ました。いっぽうで、周りが頑張る様子を見てマイナスな気持ちになってしまうときは見ないなど、モチベーションを維持しながら切磋琢磨できるようコントロールしているという意見も挙がりました。「若者の『ヘルスケア』に対する意識とは?」をテーマにしたレポート6でも発見した、セルフコントロールに長けるイマドキの若者らしさが感じられます。
またライブに行くことが好きな人は、「推し」に会えることだけでなくその場にいる人たちと空間を共有できる点に価値を感じていました。内容は人それぞれですが、リアル・オンライン問わず「共有」の背景には「一体感を味わいたい」というニーズがあることが分かりました。
※5. 一般的に、同じ時間に同じ場所で同じ体験をすることを表す。
▼report6|若者のヘルスケアに対する意識とは?:
https://corporate.canon.jp/profile/business/new-value-creation/ichikaralab/wakamonostudy/report6
- Column:抵抗感より、効率優先?!察しの文化は若者にも。
オトナ世代が驚く若者同士の「共有」の例として、2分以内に写真を投稿し合う写真共有アプリを活用してどこで何をしているか伝えたり、連絡の手間を省くために位置情報を活用したりすることなどが挙げられます。若者にとってリアルタイムの状況を共有し合うことは、相手の状況を把握できることで、今連絡しても迷惑ではないか「配慮」する目的もあることが分かりました。日本特有のハイコンテクスト文化、いわゆる「察しの文化」が現代の若者にも根付いており、リテラシーが高いからこそ、相手を気遣うための便利なツールとして上手に活用しているようです。
もちろん若者の中にも位置情報を共有しない人や、プライバシーの観点から時差を設けてSNSを更新する人もいます。ワークショップでも「周囲はプライベートな内容を共有することを当たり前に捉えているけど、自分は抵抗がある。不便を感じなければ周りに合わせてまでやらないし、友達がやっているからといって自分もやりたい理由にはならない。」という意見がありました。共有し合う周囲に対して否定しないいっぽうで、自分の気持ちも大切にする、多様性が浸透した現代の若者らしさが垣間見えました。
- まとめ
現代の若者にとって「共有」とはコミュニケーションそのものであることが分かりました。だからこそ仲良くなるためには欠かせないことであり、人とのつながりや視野を広げるきっかけにもなっています。青春時代にコロナ禍を経験し、仲間と苦楽を共にできない困難に直面した世代だからこそ、オトナ世代より一体感を求めるのかもしれません。
また多様性が浸透した現代において自分らしさを求められる機会も多い若者にとって、好きなことや経験を共有することは、周囲との関係性を円滑に保ちながらも、間接的にアイデンティティを表明できる手段の一つになっていると感じました。プライバシーを配慮して時差投稿をしたり、リアルよりも多くの人が見るオンライン上の共有では見る相手もポジティブになれる内容を心掛けたりするなどさまざまな工夫をしており、「共有」に対するリテラシーの高さも印象的でした。日本らしいハイコンテクスト文化を背景に、合理的でリテラシーの高さを持ち合わせる若者だからこそ、抵抗感よりも効率を優先し、前向きにシェアリング体験を楽しむことができているのではないでしょうか。
- 調査概要
実施日:2024年6月5日
テーマ:イマドキの若者が共有する背景とは
形式:個別発表・グループディスカッション
開催:オンライン形式
参加者:現役大学生10名、ichikara Lab メンバー7名
- ichikara Lab 概要
ichikara Labは、若年層マーケティングの強化と新たな顧客層へのリーチをめざし 2020 年4 月に設立されたキヤノンMJ初の企業内起業です。若年層のライフスタイルや購買行動、トレンド分析のほか、若年層向け商品・サービスの企画開発に挑戦しています。
・キヤノンMJの企業内企業「ichikara Lab」WEBページ:https://cweb.canon.jp/personal/ichikaralab/
・Twitter アカウント:ichikara Lab/イチカララボ【公式】(@ichikaraLab)https://twitter.com/ichikaraLab
- コラボレーション企業・教育機関の募集
ichikara Lab では、ワカモノスタディをはじめとした若年層マーケティングを共同で行っていただけるコラボレーション企業さま・学校さまを随時募集しています。ichikara Lab WEBページの下部、「CONTACT」よりお問い合わせください。
ichikara Labホームページ:https://cweb.canon.jp/personal/ichikaralab/
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