「ふりかえってみると、越路さんが宝塚をやめて東宝の専属女優になってから…… 私は三十年ものあいだ越路さんのマネージャーをしていたことになる」 戦後初の女性作詞家としても活躍した岩谷時子の数奇な運命。




株式会社河出書房新社(本社:東京都新宿区/代表取締役:小野寺優)は、岩谷時子さんの自伝的エッセイ『愛と哀しみのルフラン』(税込2,750円)を2024年10月29日に発売いたします。本書は1982年に講談社から刊行されたものを底本とし、著者の盟友であった越路吹雪さんの生誕100年を記念して2024年に復刊いたします。

公益財団法人岩谷時子音楽文化振興財団 提供

『愛と哀しみのルフラン』著者・岩谷時子さんは、1916年に生まれました。
宝塚歌劇団のファンである母に連れられ、就学前から宝塚スターやその物語世界に親しみ、大学時代には雑誌「歌劇」「宝塚グラフ」へ熱心に投稿をするようになります。やがて人手不足の編集部に呼ばれ、卒業後の1939年に宝塚歌劇団編集部へ就職。そこで、入団したばかりの越路吹雪さんと運命の出会いを果たします。

23歳の岩谷さんと15歳の越路さん。その後ふたりは越路さんが亡くなるまで40年以上にわたる深い友情で結ばれることとなります。越路さんのサインはふたりで考案し、戦時中の物資が乏しい時には美味しいものをわけあって喜び、劇場閉鎖にも至った戦中戦後をともに乗り越えた青春期。本書には、岩谷さんの鮮明な記憶で、苦しくも彩り豊かな宝塚歌劇団の日々が活写されています。"越路吹雪の同期"と冗談交じりに自称した岩谷さんは、越路さんが東京の演劇に出演の際には、小林一三さんの配慮で歌劇団から付き人として同行するほどの盟友関係となっていきます。

1951年、越路吹雪さんが東京で歌手になるために宝塚歌劇団を退団。岩谷さんも同時に東宝文芸部へ移籍し、越路吹雪さんのマネージャーとしての仕事がスタートします。
翌1952年、フランス人歌手エディット・ピアフの曲を歌う越路吹雪さんのために、岩谷さんが日本語詞を担当した「愛の賛歌」が日本の音楽シーンに登場。越路吹雪さんが奏でるシャンソンの世界観とともに、岩谷さんの美しく豊熟な日本語詞は大きな話題となり、今もなお70年以上歌い継がれる愛の名曲となりました。そしてこの「愛の賛歌」の発表により、岩谷さんは戦後初の女性作詞家としてデビューすることになったのです。その後、岩谷さんは作詞家として、加山雄三「君といつまでも」、沢たまき「ベッドで煙草を吸わないで」、郷ひろみ「男の子女の子」など、昭和の歴史に残る名曲の数々を手掛けたことでも知られています。大人気ミュージカル「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などの訳詞も岩谷さんの偉大な訳業です。そして、日本レコード大賞作詞賞・菊田一夫演劇賞特別賞・東京都文化賞など錚々たる受賞を経ても、岩谷さんは自分の職業を「越路吹雪のマネージャー」と名乗り続けたといいます。

本書『愛と哀しみのルフラン』は、1930年代から長期にわたる宝塚歌劇団団員の記録として、たいへん貴重な資料です。また、今ではレジェンドとして歴史に刻まれる宝塚スターの入団時の光景や、おおらかな時代のユーモアあふれる生活の様子、美しさの描写は、宝塚ファンには惹きこまれ目が離せない魅力が全編にあふれています。女性ふたりのチャーミングで優しい友情の物語としても、涙なしに読み進めることができません。

越路吹雪生誕100年の年に記念復刊する感動の記録『愛と哀しみのルフラン』を、ぜひ多くの方に手に取っていただけることを願っています。ご注目くださいますようお願いいたします。

公益財団法人岩谷時子音楽文化振興財団 提供


■【刊行記念】岩谷時子の自伝的名エッセイ『愛と哀しみのルフラン』ためし読み無料公開!!



単行本に収録している「誰もいない誕生日」「越路さんがいて私がいた」「毛皮そして越路吹雪さん」愛情あふれる冒頭の3篇を、ためし読みとして無料公開いたします。

URL:https://web.kawade.co.jp/tameshiyomi/112388/




■著者情報
岩谷 時子(いわたに・ときこ)
神戸女学院大学卒業。昭和14年、宝塚歌劇団出版部に入る。マネージャーとして越路吹雪を支え続ける。作詞家としても活躍。日本レコード大賞作詞賞受賞。文化功労者。代表作に「愛の讃歌」「君といつまでも」等多数。

■新刊情報


『愛と哀しみのルフラン』
著者:岩谷時子 
仕様:46判/上製/312ページ
発売日:2024年10月29日
税込定価:2,750円(本体価格2,500円)
ISBN:978-4-309-03920-6
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039206/


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