2019年1月のSIMフリースマホの平均単価は前年同月比で約5000円上昇。売り場ではどんな変化が起きているのか

スマートフォン(スマホ)の月額料金を減らしたいという意向の高まりを受け、急速に市場が広がったSIMフリースマホ。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2019年1月の販売台数は前年同月比で89.1%と前年を割ったが、平均単価が2万4818円(18年1月)から2万7338円(19年1月)に上昇し、販売金額前年比では96.6%と前年並みを維持した。売り場で起きている変化について最新動向を「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba(ヨドバシAkiba)」で聞いた。

都内でも有数の品揃えを誇るヨドバシAkibaは、サービスと端末の両方とも選択肢が幅広いことが特徴だ。ポータブル商品・携帯チーム ソリューションプロフェッショナルの福井康友グループリーダーは、「BCNランキング」のデータが示しているような単価の上昇を肌で感じているという。

「数年前まで1万~3万円というレンジの端末を選ぶお客さまが多かったが、現在は7万~8万円の高性能モデルや10万円を超えるハイエンドモデルが売れだしてきている。大きなデジタル家電の買い物というとPCというイメージだったが、いまはお金をかけるならスマホというように意識が変わってきているのではないか」と分析する。

iPhoneからAndroid端末に乗り換えるユーザーが増えていることも単価を引き上げる要因になっているようだ。「もともと単価が高いiPhoneの価格を基準に端末選びをするお客さまが多い」(福井グループリーダー)。また、同店を訪問する顧客の中で昔ながらのカメラファンも、最新SIMフリースマホのカメラ機能に関心が高いという。「複数のレンズを採用したカメラ機構やAIを駆使した機能に興味津々。撮影のために高単価の端末を購入される方もいる」と説明する。

18年末に米中摩擦の影響に伴う報道があったファーウェイについても聞いてみた。18年にSIMフリースマホの販売台数で4割を超えるシェアを記録した同社だが、年明け後の販売状況はどうなっているのか。福井グループリーダーいわく、「もちろんお客さまからお問い合わせはいただくが、ヨドバシカメラでは全店で『安心してお使いいただけます』とお伝えしている。ラインアップが幅広く、選びやすいこともあり、売り上げにはほとんど影響は出ていない」とのこと。ヨドバシAkibaに入っている日本で最初にオープンした「ファーウェイ・ショップ」の存在も、顧客の安心に一役買っているようだ。

2月末には、スペインのバルセロナで世界最大級のモバイル端末展示会「Mobile World Congress 2019」が開催される。今回は、折り畳み式のスマホなど、新たな進化の可能性を模索した新製品が発表されるとのうわさもあり、注目度は高い。成熟期に入ったとの見方もあるSIMフリースマホだが、19年も目を引く新たな発見を求めて売り場は賑わいそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。