警察庁の統計によると、高速道路では、平成29年に8,758件の事故が発生しており、そのうち約7割が、追突事故です。

高速道路での事故を意識的に避けるためのポイントを、運転歴20年以上、取材で年間1万km前後は高速道路を運転するライターが、実体験を交えつつ紹介します。

1. 休日の朝は要注意!「追い越し車線」を走行しない

冬の関越、事故多すぎ問題

冬季のスキー場取材や、プライベートでのスノーレジャーで、冬の関越自動車道をよく運転するのですが、神奈川県在住の私は、土日祝の場合、いつも朝4時台に出発します。とても眠いですが、仕方がありません。

なぜなら、土日祝の早朝の下り線では、ほとんど毎日と言っていいくらい、事故渋滞が発生しているからです。事故渋滞に巻き込まれると見越して、スケジュールを組まざる得ないのです。

事故渋滞に巻き込まれる頻度の高さもさることながら、実際にこの時間帯の関越自動車道を運転すると、「そりゃ、事故も多発するよな」という感想を抱かざるを得ません。

交通量が多いなか、追い越し車線を、車間をグッと詰めて、狂ったように加速している車がとても多いからです。スノーレジャーに向かうため、なるべく早く到着したくて急いでいるのでしょうが、見ているだけで危なっかしくて、とてもではないですが近寄る気になれません。

そして実際、事故処理の現場に出くわすと、大半が追い越し車線での追突です。

「最も交通量の少ない車線」がベストである3つの理由

関越自動車道に限らず、あらゆる高速道路での走行に言えますが、土日祝日で交通量の多いときは、「最も交通量の少ない車線」を走行する選択がベストである、と、長年の経験から結論に達しています。

「最も交通量の少ない車線」に該当するのは、多くの場合、3車線の高速道路であれば、一番「左」の第1走行車線です(夕方など、例外もありますので、状況をよく見て車線を選んでください)。

理由は、明確に3つあります。

比較的、安全

1つ目は、関越自動車道の例のように、(危険極まりない状況の「追い越し車線」に比べ)比較的安全であるからです。

交通量が多い車線は、車間距離が詰まりやすく、そこに急いでいる車ばかりが数珠(じゅず)つなぎになっている状況では、急ブレーキを踏まなければならない状況が多発し、とても危険です。たとえ自分が追突しなくても、後ろの車に追突される可能性が高くなります。

一方、こうした状況下でも、第1走行車線では、自分のペース・車間距離を守って走行しようという意識の車が多く、事故に巻き込まれる心配は、大幅に低下します。

もちろん、第1走行車線は、平均速度は高くないケースが多いですし、速度の遅い大型車がいれば車線変更して追い越さなければいけません。が、事故に遭えば、目的地に到着することすらできず、車は壊れ、酷いときには同乗者や他人を死傷させてしまうかもしれないわけですから、どちらが大切かは言うまでもありません。

※なお蛇足ですが、のんびり走行の車が多い印象のある第1走行車線ですが、状況によっては、いちばん速いケースもあります。

たとえば、朝の首都高速湾岸線の上り線、ベイブリッジ付近がそうですが、朝で急いでいるため、多くの車が追い越し車線に車線変更します。すると、車間距離が詰まりすぎて、速度が大幅に低下してしまいます。

私はよく、速度をあげられない追い越し車線の車を横目に見ながら、交通量の少ない第1走行車線をすいすい走行します(せいぜい60 - 70km/h 程度ですが、それでも最も速く進めます)。

燃費がよい

2つ目は、燃費の良い走行ができるからです。交通量が少なければ、車間距離も自然と長くなり、一定の速度で走行し続けられるため、加減速を繰り返すよりも、遥かに燃費が向上します。

疲れない

3つ目は、のんびりと運転ができ、過度な集中力を必要とせず、疲れにくいからです。燃費とも関連しますが、クルーズコントロールがついている車であれば、アクセルコントロールの必要すらなくなり、よりメリットを実感できます。