撮影:山口 真由子

“青春ヘイト”を振り切って好演

将来を期待されたエリートたちが集まる秀知院学園。その生徒会会長で頭脳明晰な白銀御行(平野紫耀)と、財閥の子女で文武両道、美貌も持ち合わせる副会長の四宮かぐや(橋本環奈)は互いに惹かれ合っていた。

しかし、共にその高すぎるプライドが邪魔をして告白ができずに、いつしか自分から告白しては“負け”という呪縛にとらわれる。そしていかにして相手に告白させるかのバトルが始まる!

そんな2人のこじれた恋愛模様を描いた、9月6日より公開の映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』で、佐野勇斗が演じるのは、白銀、かぐやと同じ生徒会の会計・石上優。青春を謳歌するものに嫌悪感を示す“青春ヘイト”という役どころで、俗に言う“陰キャラ”を振り切って演じている。

数々の映画やドラマに出演しつつ、ボーカルダンスユニット、M!LKのメンバーとしても活躍中の佐野。同じように俳優とアーティスト活動をしている憧れの平野との共演秘話から、今、周囲に対して感じている想いやプライベートな一面まで、たっぷりと語ってくれた。

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撮影:山口 真由子

――出演が決まったときの印象を教えてください。

まず平野紫耀くんとご一緒できる、っていうのが、僕の中ではすごくうれしくて。自分と同世代で、テレビにもたくさん出ていて、歌もダンスも俳優もバラエティも全部マルチに活躍されているのはすごいな、って。

僕の中で目標というか、憧れの存在だったんです。そういう方を間近で見られるのは勉強にもなるだろうなとも思ったし、うれしかったですね。

それから、この作品についても、めちゃくちゃ面白いし、石上の役もただの嫌な奴って感じじゃなくて愛されるキャラクターだなと思ったので、それをやれるのは楽しみだなって思いました。

――石上は“青春ヘイト”っていう役どころで、青春を楽しんでいる人たちへの敵意が止まらない人ですが、佐野さん自身はそういう感じではないですよね。

確かに僕は“青春ヘイト”ではないですけど(笑)。でもちょっと人見知りなところはあったりします。

そう言うと「えっ? 全然そういう風に見えない」ってよく言われるんですけど、実はわりと人との間に厚い壁があって、すごく仲良くなれる人はかなり絞られているんです。石上も白銀とかの生徒会メンバーにしか心を許してないし、そういうところは似てるのかなって。

それに今は違いますけど、昔は「彼女なんてありえないし!」って思ってた時期もありましたし。「デート行こう!」とか言ってる人を見ると、「何言ってるんだ、こいつら」って(苦笑)。ホントに興味がなかったこともあったので、近しい部分があるかもしれないですね。

©2019映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 ©赤坂アカ/集英社

――石上はいわゆる“陰キャラ”だと思うのですが、映画『3D彼女 リアルガール』(18年公開)で演じていた役柄もオタクで、そういうキャラクターを演じるのがうまいな、という印象があります。

これまでいろんなタイプの役を演じさせてもらいましたけど、こういう役は楽しいですね。僕自身があんまり自分に自信があるタイプじゃないので、リーダー的な存在だったり、声をあげて周りを引っ張っていくような役よりは、こういう方が演じやすいっていうのはあります。

――『3D~』のときは、映画『トイ・ストーリー』のキャラクターの動きを参考にしたとお話されていましたけど、今回はそういう形で何か参考したものはありましたか?

今回は原作を参考にしました。(『3D~』と)似たような役なので、それとは違いを出したいな、とは思っていて。前回が僕の好きな感じのオタクだったので、それと変えなきゃ、っていうのはありました。

アニメや原作を読み込んでいろいろ研究して、わりと暗めの感じで行こうかなって思ってたんですけど、監督からそれだと画面では映えないって言われたりもして。仕草に緩急をつけたり、声色を調整したり、今回は難しかったですね。

平野紫耀くんと共演した感想

撮影:山口 真由子

――先ほど、平野さんとの共演が楽しみだったとおっしゃっていましたが、実際に会ってみてどうでしたか?

テレビで観てたときは、あの天然な感じはキャラでやってるのかな、って思っていたんですよ。僕もたまに人前だとスイッチを入れて、いつもより頑張っちゃうところがあるので、そんな感じなのかなって。けど、ガチでした(笑)。

ただテレビでもいい人オーラが出てると思うんですけど、実際に会ってもめちゃめちゃいい人で。確かに、天然で「どういうこと?」っていう発言もするんですけど(笑)、ちゃんと周りが見えていて気を使えるし、ホントのスターなのにそれを感じさせない気さくさがあって。

やっぱり違うなって思いました。わざと持ち上げてるわけじゃなくて、ホントのスターってこういうことなんだなって感じました。

――一緒に演技をしてみて感じたことはありますか?

白銀役がぴったりだなって。あの王子様感というか。でもカメラには映ってないところで、僕をふざけて笑わせようとしてきたりとかは紫耀くんらしいなって。

そういえば、「石上」って、僕の名前を白銀が呼ぶシーンで、いきなり全然違う音声さんの名前を言い出したことがあって。本番前にその音声さんと話してたら、本番になってもその名前が頭に浮かんでしまったらしくって(笑)。そうやって自然と場を和ませてくれたり、天性で人に愛される人なんだなって思いましたね。

現場では紫耀くんとずっとはしゃいでたイメージがあります。もう二人とも二十歳を超えた大人ですけどね(笑)。同い年くらいの俳優さんってわりと落ち着いてる方が多いんですけど、紫耀くんは一緒にはしゃいでくれたのでうれしかったですね。

僕、普段は周りに気を使ってしまうんですけど、なんでか紫耀くんには気を使わなくても良かったんです。地元(愛知)が一緒だったり、共通の話題が多かったからもしれないですけど。

©2019映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 ©赤坂アカ/集英社

――2人でどんな話をしていたんですか?

実のない話ですよ(笑)。でも、真面目なところで言うと、お互いのグループ(King & PrinceとM!LK)の話はしました。ライブのセットリストってどうやって決めてるの?とか、リハーサルはどういう風にしてるの?とか。

いろいろ聞いて学びました。それは印象に残ってますね。現場でそういう話ができる俳優さんってこれまでいなかったので、それができたのはとてもうれしかったです。

――そういえば、佐野さんはKing & Princeのライブも観に行っていましたよね。

行きました。カッコイイ曲とかになると、いつものかわいらしい天然の紫耀くんからバチっと変わるんですよ。二面性を持っているというか。あれはファンの方はメロメロになるわ、って感じました(笑)。

©2019映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 ©赤坂アカ/集英社

橋本環奈さんはぶっ飛んでます(笑)

――橋本環奈さんとの共演はいかがでしたか?

ちょっと彼女は違いますね。いい意味でぶっ飛んでます。いろんなものを超えてきてる存在です。

面白くて、結構周りにツッコミも入れるんですけど、人を傷つけるようなことは言わないし、自分が自分がっていうんじゃなくて、相手を立ててくれる。

一緒にいるとみんなハッピーになれる。周りもちゃんと見えているし、若いのにすごいなって。こんなにかわいくて、中身もこんなに良かったら、それは注目されるわ、っていうのが今回わかりました。

――しかも振り切ったコメディエンヌぶりで。

やっぱり変顔するとときとかって、どこか恥ずかしがったりするんですけど、(橋本は)男性陣より全力でやるからこっちが困っちゃうくらい。