紙の切符や定期券の代わりに使える、「交通系電子マネー」と呼ばれる交通系ICカードが地域ごとに展開されている。具体的には、Kitaca/Suica/PASMO/TOICA/ICOCA/SUGOCA/ニモカ/はやかけんの9種類。なぜ最初から全国統一しなかったのかと関係者に不満を口にしたいところだが、本記事は主に首都圏在住者に向けた内容となる。 関東エリアでは、JR東日本のSuica(スイカ)と、私鉄各社が参画するPASMO(パスモ)が共存し、当初は携帯電話向けとして始まったモバイル端末向けサービス「モバイルSuica」は、2016年10月25日からFeliCaを搭載したiPhone/Apple Watchでも利用できるようになった。

都度乗車なら、PASMO/Suica相互利用の仕組みによって、今も、カード型のPASMOの代わりに、Apple Pay/Google Payに登録したSuicaを利用すれば、私鉄各線でもスマートフォン(スマホ)をかざすだけでOK。しかし、JR東日本線との連絡定期券を除き、定期券は、カード型のPASMO定期券/磁気定期券でしか利用は不可だった。

つまり、2020年春にサービス開始が決定した「モバイルPASMO」は、自宅・勤務先の最寄り駅がJR線ではないため、「スマホを定期券として使う/スマホで定期券を買う」という選択肢がなかった、PASUMO定期券ユーザー待望のサービスとなる。

モバイルPASMOで関東私鉄とJRの沿線格差が消える

モバイルPASMOのサービス開始後は、モバイルPASMOアプリをインストールしたスマホ1台で、購入した定期区間の鉄道・バスの利用から買い物まで可能。チャージは24時間いつでもでき、定期券を買うために窓口や販売機に並ぶ必要もない。ただし、対応機種は、購入時にAndroid 6.0以降を搭載したおサイフケータイ対応スマホのみ。対応機種、対応する定期券種別などは3月初旬が公開予定となっている。

ご存知の通り、国内ではAppleのiPhoneシリーズが圧倒的な人気を誇る。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」によると、2019年のiPhoneの販売台数シェアは51.9%(OS別でみると52.5%)と、ほぼ半数を占め、Androidは全機種合算しても45.3%と、差が開いている。しかも、Androidのシェアは下落傾向にあり、17年に比べ、19年は5.4ポイントもダウンした。

店頭で「Apple Pay/Google Pay」が使えるFeliCa対応機種の構成比は、iPhoneに限ると90.8%に達し、非対応のiPhone 6sでも、FeliCa搭載Apple Watchと組み合わせれば、Apple Watch上でモバイルSuicaを利用できる。対して、AndroidスマホのFeliCa対応機種の構成比は62.7%にとどまり、「HUAWEI P30 lite」などのFeliCa非搭載機種では、チップ自体が入っていないため、モバイルSuica/モバイルWAONなど、FeliCa技術を利用した国内の非接触決済サービスは全て利用できない。

モバイルPASMOの対応機種にiPhoneが加わるまで、モバイルPASMO定期券こそ、iPhoneからAndroidスマホに乗り換えるメリットを最も押し出せるサービスだろう。関東私鉄沿線のPASMO定期券ユーザーを取り込めれば、Androidのシェアは、今年は大幅回復が期待できるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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