子どもに「お手伝い」をさせることは大事ですよね。幼い頃に、子どもが手伝いをしたがる時期がありますが、それを大人が拒否したり、気が付かないことも多々あります。

そのタイミングを逃さず、ちょっと面倒でもやらせてしまうことで、進んでお手伝いをする子になり、家事能力も身について、親が将来ラクできるようになるかもしれません。

今回は、幼児期に習慣づけたいことについて〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がご紹介します。

“食べるだけ”の20歳の子ども

「お母さんがご飯を作る人、そして食器を洗う人。夫も成人した子どもも出されたものを食べるだけ」という役割分担になってしまっている家庭があります。

まるで、お母さんが旅館の仲居さんのように独楽鼠のごとく動き回って、ご飯を作り食器を下げ洗い物をしています。ご飯の時間になるとヌーッと部屋から出てきて黙々と食べ、「ごちそうさま」と言って部屋にこもってしまう、そんな光景があります。

将来、こんな風になったらちょっと残念ですよね。

「お手伝い」を拒否してしまっていませんか?

でも、ちょっと思い出してみてください。きっとこのお客さんのような娘も15年くらい前の可愛い幼児期には「私にもやらせて!」とキッチンに立つ親にまとわりつき、お手伝いをしたがっていた時期があったはずです。

実際に“ままごと”は、今も昔も男女問わず大人気の遊びです。“ママ役”の奪い合いになります。そして、お母さんが毎日している料理を自分でも作ってみたいのです。本物の野菜や肉を包丁で切ったり、フライパンで炒めたりしてみたいのです。

この時が、手伝いをさせるベストタイミング!なのですが…。

「邪魔しないで、いいからあっち行っていなさい!」

「危ないから触っちゃダメ!」

などと拒否してしまっていませんか?

このように言い続けていると、だんだんと近寄ってこなくなります。そのうちに、興味関心があったピークは下降線をたどり始めます。

更に、小学校に入学してからも「お手伝いする時間があったら宿題をしなさい」とつい言ってしまい、“勉強優先の空気”が家庭内に流れてしまうこともあります。

こうして育っているうちに、20歳近くになって旅館のお客さんのように、上げ膳据え膳で暮らしている子どもになってしまうことがあります。

幼い子は手先がまだ器用ではありませんから、危なっかしくて料理をさせるわけにはいきません。でも、親がそばについてキュウリやニンジンを切ったり、炒めたりする体験をさせるうちに興味を持ち、だんだんと上手になってくるものです。

そうなると将来、ママが外出したとき「今日は子どもが夕飯当番だから気が楽だわ~」なんて夢のような日がやってくるかもしれませんね。