【母乳110番】の現場からお伝えする育児相談シリーズ「よくある質問」特集。第3回は「母乳トラブルを回避・軽減するには?」。

【母乳110番】代表で『おっぱいとだっこ』など多くの著書もある竹中恭子さんが、まず試してみてほしい「簡単解決法」を紹介します。

食生活より変えてほしいのは?「母乳トラブル」にまつわる新常識!

前回のインタビュー「【母乳110番】ある赤ちゃんが教えてくれた…」では「授乳で一番大事なこと」についてお伺いしました。「大切なのは母乳かミルクかという『乳汁の種類』ではない」というお話に、母乳かミルクかという問題で悩んでいたママたちも救われたのではないでしょうか。

とはいえ、ママが日々感じているプレッシャーはそれだけではありません。

――竹中さんは【母乳110番】代表として「母乳育児をしたい」という方たちのサポートもされていますが、今日は母乳ママ(あるいは母乳育児をしたいプレママ)が、最も恐れているともいえる「母乳トラブル」について教えていただけますか。

竹中恭子さん(以下、竹中):実は「母乳トラブル」の解決については、ひと昔前の“常識”が、もはや常識ではなくなっています。2003年に『おっぱいとだっこ』の初版を出してから15年余りになりますが、この点が一番変わったんじゃないでしょうか。

――常識が変わったんですか?例えば我が家には2005年生まれの子がいるんですが・・・

竹中:乳腺炎の予防のために「ご馳走とかケーキとか、食べ物をガマンしなきゃいけない」と指導されませんでしたか?

――言われました!おっぱいが詰まるから「脂っこいものはダメ!」とか。

竹中:でもそれ、個人差があるでしょう?

東洋医学的な考え方をとれば、ママの食事と母乳がまったく関係ないというワケでもありませんし、それに例えば和食中心の生活は、ママの健康にもいいというのはありますよ。

でもね、こんな風に言っちゃうと身もふたもない話ではあるんですけど・・・何を食べても詰まる人は詰まるし、大丈夫な人は大丈夫じゃない?

――そうですね・・・気を使った食生活を毎日していても、おっぱいが張ってしまうママもいれば、「カルビ丼特盛食べてもへっちゃら!」みたいなママもいますよね。

竹中:だからね、食生活のことはとりあえず気にしないで。

「授乳姿勢」を変えてみたら?というアドバイスに、最近は変わってきているんです。

――「授乳姿勢」ですか?

竹中:「授乳姿勢」は「ポジショニング」ともいわれますが、この方法のすごいところは「ポジショニング」を変えるだけで乳腺炎にかかりづらくなるだけではなく、ほかの代表的な「母乳トラブル」、腱鞘炎や肩こり、さらには乳首切れの予防にも効果アリ!ということなんです。

授乳姿勢を変えるだけ!ママの身体も気持ちもラクに!

『おっぱいとだっこ』(PHP電子)より。イラストも竹中恭子さん

竹中:10年ほど前まで、授乳のポーズって「前かがみ」が主流でした。授乳クッションを置いたりしてね。

でもいまは、ママが後ろに寄りかかるような姿勢で、赤ちゃんがおっぱいを飲むのを“迎え入れる”ようなポジショニングがオススメとされています。

『おっぱいとだっこ』(PHP電子)より。イラストも竹中恭子さん

――ママが、下ではなく上を向くイメージですか?

竹中:はい。ママが下ばかり向いて必死になっているのとは、真逆のポジショニングですね。ゆったりした気持ちで授乳できるので「リラックス法」とも呼ばれているんですよ。

『おっぱいとだっこ』を2017年に改訂した際、監修をしてくださった産婦人科専門医の村上麻里先生は「女王様授乳」と表現されていました(笑)。