世界最大級の宿泊予約サイトBooking.comは5月21日、世界的に広がる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅行に行けない状況が続く中、新型コロナが収束して次の旅行に行ける日を夢見て、ブッキング・ドットコムに掲載されているどのような宿泊施設をお気に入り登録・保存していたのかを「ウィッシュリスト」としてデータ化し、各国の違いとともに発表した。

新型コロナウイルス感染症が流行し始めた今年初頭から、各国での国境の閉鎖や渡航制限、国内でのロックダウン、移動規制などから、人々の往来を主とする「旅行」が一時的に停滞している。今回発表した数百万のウィッシュリストデータは、3月から4月の過去2カ月で世界中のユーザーが次の旅先のヒントとしてブッキング・ドットコムに掲載されている各宿泊施設ページのハートマークをクリックしてウィッシュリストとして登録・保存したもの。

3月の初めから10万を超えるさまざまな目的地がウィッシュリストに登録されてきた。これは、こうした状況の中でも人々が「旅行」という心のよりどころを失うことなく、いつかくるその日のために前向きに捉えているということが証明された数字でもある。

今まで同様、多くの国際的な観光地がリストに上がっている中で、この時期に世界中で登録されている全てのウィッシュリストの半数以上(51%)が国内旅行という結果になった。昨年の同時期のデータを見ると、国内旅行のウィッシュリスト登録はわずか33%であることから、今回の予期しない自体の中で、しばらくは国内旅行へとシフトしていくことが分かる。

日本国内のデータを見ても、昨年は40%だった国内のお気に入り登録が71%まで上昇しており、グローバル平均よりもその意識の変化が色濃くうかがえる結果となった。

日本のブッキング・ドットコム利用者は、世界中の国と地域の中でも12番目に多くウィッシュリスト機能を活用し、次の旅行に向けて気分を高めていることが分かった。ウィッシュリストに登録されている国内の地域は、東京、京都、大阪、福岡が上位で、大規模な自粛要請があり今は閑散としている大都市への旅行希望者が多いことがうかがえる。

特に、関西圏の京都・大阪で「買い物」や「食」などがインバウンド客にとって魅力的なのに対し、日本人がディープでその土地でしか体験することのできない「ローカルフード」や「ユニバーサルスタジオジャパン」を魅力的に感じ、国内でありながら非日常を感じることのできる土地が人気となっている。

さらに、20位以内には那覇市、恩納村、石垣島、宮古島、北谷と沖縄から5カ所がランクインしており、「水族館」や「島々」、「ダイビング」などのアクティビティを楽しめる国内リゾートを堪能したいという意識が高い結果となった。

一方で、海外旅行に目を向けている日本人の中で最も人気の地域はソウル(韓国)、次いでバンコク(タイ)、ホノルル(ハワイ)、台北(台湾)、パリ(フランス)となった。トップ10のうち7カ所は東南アジアを示しており、比較的近距離の海外旅行を選択している人が多い結果となった。

1000以上の地域の中で、世界で最もウィッシュリストを集めていたのは、ロンドン(イギリス)、次いでサンクトペテルブルク(ロシア)、パリ(フランス)となった。そうしたなか、日本は18都市が選ばれており、東京都が6位、京都府が27位、大阪府が29位と30位以内に3都府がランクインしている。

各国ともに長い外出自粛の期間を経て、少しずつ外の景色を見ることができるようになってきた今、検討されている宿泊施設タイプも国によって志向がさまざまとなっている。

日本では、ホテルが52%と世界平均よりも12%高く人気となっている。次いで、アパートメント、ホステル、旅館、ゲストハウスが選ばれていた。また、5月1週目までに日本でウィッシュリストに登録された宿泊施設のうち、京都の施設が多く選ばれていることが分かった。