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4月に予定されていたツアー中止から、生配信ライブに至る経緯を語る

2020年7月15日(水)に生配信ライブ「USG 2020 “LIVE (in the) HOUSE”」を開催するUNISON SQUARE GARDEN。ファン投票をもとにした“リクエストワンマンライブ”は、彼らのキャリアにとっても、きわめて意義深いものになりそうだ。

バンド史上初となる生配信ライブに向けて、斎藤宏介(Vo&Gt)、田淵智也(Ba&Cho)、鈴木貴雄(Dr&Cho)にインタビュー。第2回は、田淵智也に初の生配信ライブに対するスタンス、2020年の活動ビジョンなどについて語ってもらった。

── 7月15日に生配信ライブ「USG 2020 “LIVE (in the) HOUSE”」が開催されます。まず、4月に予定されていたツアー『fun time HOLIDAY 8』の中止から、生配信ライブに至る経緯を教えてもらえますか?

田淵 その瞬間におもろいと思ったことをやるべきだというのをすごく思っていて。(新型コロナウイルスについて)いろいろ勉強して、ウイルスがすぐになくならないのは明らかだし、一緒につきあってくしかないなってなったときに、別の音楽の楽しみ方を提供するためにチューニングしないといけないんじゃないかなと思ったんですよね。

オンラインライブみたいなものは、今後もインフラとしてあっていいんじゃないかなと。

── すぐに「この状況で何ができるか?」というところにシフトしたんですね。

田淵 そうですね。我慢して待つのはやっぱり性に合わないので。ただ、僕らは妙なロックバンドなので、リモートならでは、みたいなのがいまいちピンとこなかったんですよね。

その中でいろいろ考えて提案していたんですけど、どう頑張っても4月、5月は「動くな」と言われる2ヶ月だったんですよ。それは結構、精神的にもくらいましたね。

僕としては「社会が明らかに変わったんだから、そこに合わせてすぐ新しいこと始めようや」ぐらいの気持ちでいたんですけど、なかなか思うようにはいかなくて。その中で唯一できることがオンラインライブだったんです。

ラッキーなことに会場もすでに押さえてあったので、後はいろいろプランニングしていこうと。そうやって徐々に目的がはっきりしていった感じですね。

── なるほど。ブログでも「音楽でわくわくできてないと心が死ぬ」と書かれてましたけど、動きたくても動けない時期はどうやってメンタルをキープしてたんですか?

田淵 メンタルキープか……。1日の最後の方には何かしら身体を動かしたり、不健康にならないように気を付けたり。でも、自分がワクワクしている対象はやっぱり音楽だったり、音楽業界でいろいろやることなので、そこに対して新しいアイデアを考えることはどうしてもサボれなくて。

本を読もうとか映画観ようって最初は思ってたんですけど、結局、音楽のことをあれこれ考えて、1日が終わっちゃうみたいな感じでした。それがメンタル的に良かったのかどうかは、イマイチ自信がないですけど(笑)。

── どうしても音楽のことを考えてしまうのは、田淵さんらしいと思います。今回の配信ライブは、ファンからのリクエストを募っていますが、これも田淵さんのアイデアですか?

田淵 そうですね。いきなり配信ライブをやりますと言っても、馴染みもないし、「参加するとおもしろいですよ」というポイントを加算していかないと、乗っかってくれないだろうなと。

1回目はとにかく成功させないと、「新しいインフラとして整えていくべきだ」という流れにならないだろうし、そのために客が「おもしろい! 乗った!」と思ってくれるプランをなるべく出したかったんですよね。その中で思いついたのが、投票のランキングをもとにセットリストを組むという方法です。

── 配信ライブならではの楽しみ方を用意したいと。

田淵 はい。僕はホントに、ライブを定期的にやらないと心が死んじゃうので。なんとかしてライブをやる理由を作りたいし、自分の手の届くところでおもしろいアイデアをどんどん出していきたいなと。

個人的には「(配信ライブを)毎月やればいい」くらいに思ってたんですよ。たとえば毎月違う曲をやるとかね。僕らぐらいのキャリアになると持ち曲がいっぱいあって、なかなかライブでやらない曲もけっこうあって。

月に1回、ある程度の尺でライブをやれば、普段やらない曲もできるんじゃないかなとか。そうやってプロジェクトのおもしろさを提案していけるといいかなって。……別に何も決まってないですけど(笑)。

── 生配信ライブに合わせてフード(『COFFEE & BEER“LIVE (in the) HOUSE”』)も販売。これも家でライブを楽しむためのアイデアですよね。

田淵 これもとても良いアイデアだなと思っていて。「同じものを食べている」というのも、同じ時間を共有しているという没入感の助けになるだろうなと。

たとえば横浜アリーナでライブがあると、どっかの店で「チケット持ってる人はビール一杯タダ」ってあるじゃないですか。あんな感じで「今週末はユニゾンの配信ライブなので、そのためのセットを販売しよう」ということがあってもおもしろいだろうし。

── カラオケボックスで友達と一緒に盛り上がったり。

田淵 まあ「1枚買えば何人でも見れるのでは?」みたいなチケットの問題もありますけど、カラオケ店とうまく結託すれば、人数分のチケットを用意することもできるかもしれないし。

そういうホスピタリティはまだ補完できてないし僕もそんなに深追いするつもりないですけど、なんにせよルールでガチガチにしてしまうとつまらないオンラインライブ・シーンになってしまうので、今のところは様子見というか、「君たちの性善説に賭ける」という感じです(笑)。

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