和田彩花ライブ『2020 延期の延期の延期』
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和田彩花が8月1日、ZEPP TOKYOにて『2020 延期の延期の延期』を行った。

uP!!!でも生配信されたこのライブは、和田がハロー!プロジェクト及びアンジュルムを卒業後、初のソロツアーとして予定されていたが、新型コロナウィルスの影響により初日の名古屋公演を除いて全て延期・中止となった『和田彩花ライブツアー前2021―この気持ちの先にあるものはなに?―』を踏まえたもの。

3度の延期の末、コロナ禍の中で生まれた新しい視点を加え、和田彩花の現在進行形の表現として一から見直した内容となった。

ポエトリーリーディングも交え、全て自身の作詞による16曲を披露

コロナ感染対策のため、観客は座席の間隔を空けて着席。開演前の会場に音楽は流れておらず、静まり返った空間から沸き立つようにバンドのオープニングSEがはじまった。

驚いたのは、ステージ位置。キーボードの楢原英介(from. VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)、ギターのオータケコーハン(from. あらかじめ決められた恋人たちへ)、ベースの劔樹人(from. あらかじめ決められた恋人たちへ)、ドラムのUが楕円形に並ぶ中に、和田は真ん中には立たず、ピアノとギターの間にバンドメンバーのひとりとしてたたずんでいた。

それは、この先も自然とバンドメンバー全員に目を向ける効果を生み、全員で“和田彩花”の音楽を作っている意志を思わせるものだった。

照明の灯りは落とされ、和田はしばらくスクリーンに向かう。白いミニ丈のワンピースは、彼女の凛とした立ち姿を際立たせていた。

演奏の高まりとともに、白い一輪花のアーチが観客席の左右からステージにつながる。

1曲目は、和田の音楽表現のはじまりとともに披露された「Une idole」。独特の緊張から放たれるように、スタンドマイクを通して伸びやかな和田の声が会場を包んだ。

2曲目「少しの寂しさとともに」では、間奏中、マイクスタンドの前でくるくると軽やかに舞う姿も。スクリーンに映し出される言葉を受け取りながら、そのやさしく語りかけるような歌声と力強い演奏に引き込まれていく。

そして、和田がこれまでのパフォーマンスでも大切にしてきた、ポエトリーリーディングを披露。iPadを片手に、8月1日が誕生日である彼女の私的な情景とつながる詩は、私生活と社会生活、どちらも大切に暮らし表現したいという想いが紡がれていた。

スクリーンに映し出された白黒の高速道路の光で、和田の表情が見え隠れする姿が幻想的な「空を遮る首都高速」、和田が制作したMVと心地よい歌声が響く「ホットラテ」とつづく。

<あなたの幸せすてきよ、私のそれは/ちょっと違っても/そっと前を向いて/貫く愛は今日もここに>互いを認める世界への願い、時折、彼女のトレードマークである“大きく口を開けて笑う”表情が垣間見えた。

「それでも愛を信じるのは」では、和田が手持ちカメラで撮影したであろう、再開発前の宮下公園高架下やスクランブル交差点など渋谷の街中を歩く様子が、「スターチス」では自然風景がスクリーンに映し出された。行ったり戻ったり、さまよったりする映像は、人生の時間を圧縮したよう。