周りの子に比べて落ち着きがない、一瞬目を離したすきにどこかへ行ってしまう、こだわりが強く同じ道を通らなければ癇癪を起す。「子どもってそもそも落ち着きがないものだし、我儘で自己中だし、これって個性の一つ?それとも何か問題があるの?」と不安になりませんか?

『発達障害に生まれて』ノンフィクションのモデルとなった立石美津子がお話します。

客観的な生物学的マーカー(指標)はない

元気が良すぎて、落ち着きがないのは単なる個性なのか、それとも障害なのか。お友達と遊ばないで一人遊びばかりしているのは単なる個性なのか、それとも障害なのか。

実は現代の医学では、採血してある一定の数値を越したら「ハイ、お子さんは発達障害ですね」のような“客観的な生物学的マーカー(指標)”はありません。つまり、個性の延長線上にあるのか、障害があるのかを線引きするのはとても難しいことなのです。

検査

例えば、染色体異常である“ダウン症候群”の場合、染色体を調べれば21番目の染色体が3本あることで、明確に診断ができます。

けれども、発達障害児については。専門の医師が行動観察し、様々な検査をして診断します。

例えば下記のテスト

Ⓒ夕露

でも、親が心配になって、このテストをしたとしても…4歳までは“自分ではない相手がどう感じているか”を分かる“心の理論”は育っていません。

また、この年齢を過ぎても十分育っている子と、またまだ育っていない子がいるので、これで不正解だったからといって、即「自閉症だ」と決まるものでもありません。

健常児(=定型発達児)と発達障害児の子ども達の境界線にははっきりしたものはありません。このことから“グレーゾーンの子ども達”という言葉も生まれました。

はっきりしないので益々不安になる

筆者の息子の幼い頃の写真

ひと時もじっとしていられないわが子。こだわりが強すぎるわが子。「子どもだから」で済まされる範疇ではなく不安になり、専門機関に連れて行ったら「もしかしたら発達障害かもしれません」と言われてしまいました。

でも、そのことを、周りのママ友に伝えました。

すると…「そんなことないよ。子どもなんて大なり小なりみんなそんなものよ。元気なだけよ」「誰でも得手不得手があり凹凸があるのが人間なんだから、障害じゃなくて個性の一つと考えればいいじゃないの」と励まされました。

この言葉を拠り所にして「我が子の行動は個性や性格の一つ」と片づけてしまいたい気持ちと、「もしかしたら、脳に元々何か障害があるのかもしれない」の気持ちが錯綜し、ますます不安になってしまいました。

診断を受けても…

園に伝えても「特別扱いできない」と言われるケース

個人面談のとき「うちの子は発達障害があるので特別な配慮をしてほしい」と申し出ると、担任から「それは個性の一つですよ。どの子も性格も違い個性があるのですから、お宅のお子さんだけ特別扱いは出来ませんよ」と拒否されてしまうことがあります。

配慮してもらえなくては難しい子なのにも関わらず、毎日の園生活を送ることになります。

親が受け入れないケース

前記のママとは反対に「お子さんに発達障害があります」と専門医師から言われても、障害を認めたくない気持ちがあり「いいえ、うちの子は発達障害児ではありません!ちょっと個性的なだけなんです!」と頑として拒む場合があります。

家族との溝

母親は日常的に長い時間子どもと過ごすので、気づきが早いのですが…。

夫や姑から「こんな小さいうちから障害者のレッテルと貼る気か!そんなことをしたら伸びるものも伸びなくなる!」「似たような子は他にもたくさんいるじゃないか!」と療育に通うことや、専門機関を受診することを禁止され、家族間の諍いが絶えないケースがあります。

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