多部未華子×青山真治 撮影:奥田耕平
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ごく普通に生きているように見える人も、みんな何かしら悩みや痛みを抱えている。そんな息苦しい時代へ送る静かなエールのような映画が誕生した。それが、10月23日(金)公開の映画『空に住む』だ。

両親の急逝。その悲しみを受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいによって高層タワーマンションで新たな生活を始めた直実。

仕事、人生、そして恋愛のはざまで揺れる現代女性の孤独や喪失感が、直実の姿を通じて繊細に描かれていく。

主人公・直実を演じたのは、女優の多部未華子。メガホンをとったのは、実に7年ぶりの長編映画となる青山真治監督。日本映画界の至宝というべきビッグネームが、本作で初めて顔を合わせた。

「直実は、亡くなった両親からも『雲みたい』と言われるような、どんな人なのか一言では言い表せない、掴みどころのない女性。

私も彼女のことを100%共感しながら演じたとは正直言えなくて。どちらかと言えば、よくわからないまま『これでいいのかな?』と思いながら演じていました」(多部)

多部未華子 撮影:奥田耕平

大ヒットを記録した『私の家政夫ナギサさん』をはじめ、多部の演じる女性像は常に多くの女性から共感を集めてきた。

だが、決して役に共感したり、その行動理由や感情の流れを完璧に理解することに重きを置いているわけではないという。

「これは言わないんじゃないかなというような、よっぽどな台詞があったり、行き過ぎなんじゃないかなということがあれば監督に相談したりはしますが、基本的に疑問は疑問のままとりあえずやってみよう、というタイプです。だから、監督と役についてお話しすることもあまりなくて。それはこの作品に限らず、どの現場でもそうでした」(多部)

「そこが多部さんの面白いところ。実際、人間の行動や気持ちって理屈じゃないところがありますよね。それを多部さんはちゃんと受け入れてくださる。頭で理解することが、演じる上で決して大事ではないということを多部さんは理解されているんです」(青山)

多部未華子 撮影:奥田耕平

「今回も監督と直実について話すことはほとんどなかったですよね?だから、正直監督もどう思っているんだろうって思いながら、でもオッケーって言ってくださってるからオッケーなんだろうなって(笑)。そんなふわふわした感じで現場にいました」(多部)

「それでいいんです。僕も普段からなるべく自分の中でイメージを持たないようにしていて。だって、僕の中にある登場人物のイメージを俳優さんにゴリ押ししたってしょうがないでしょう? そうじゃなくて、演じられる俳優さんが体現するものにすべてを懸ける。

すると、『それが見たかったんだ』というお芝居が見られるんですよ。それが映画づくりの面白いところなんです」(青山)

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