「ワンオペ育児」はよく聞きますが、では家事はパートナーときちんと分担できていますか?

実際のところ、特に育児がワンオペとなっている家庭では、家事もワンオペ状態ということが多いのではないでしょうか。

育児だけでも大変なのに、家事までひとりでこなそうとすると相当な無理が生じます。

タフな人は無理をして乗り切れてしまうこともあるかもしれませんが、大体の人はどこかで体調を崩してしまったり、ストレスからメンタルにも影響が出たりするでしょう。

周囲に協力を求めたり家事代行を頼んだり、ということも場合によっては可能ですが、まずは家事を家族で“共有”することが、ひとりに負担が偏り過ぎず、家族の誰もが快適に過ごせる家をつくる第一歩。

そんな「家事シェア」のヒントが詰まっているのが、子育て家庭のモヨウ替えを年間100件以上行っている、日本で唯一の“家事シェア研究家”三木智有さんの著書『家事でモメない部屋づくり』。

本書より、「モヨウ替え」を通じて家族の“チーム化”をうながし、家事シェアを行っていく方法をご紹介します。

「家事シェア」の第一歩は家族の対話

家族をチーム化していくにはまず、夫婦のどちらか一方が「手伝う」というスタンスになるのではなく、「協力し合う」というスタンスになること。そのために最も有効な手段が、部屋の「モヨウ替え」だと三木さんは言います。

家族が抱える暮らしの課題や理想を改めて“見える化”し、浮かび上がったその課題を解決して今より暮らしやすくなるようなルールと環境を作り出す作業こそが、モヨウ替えです。

そして大事なのは、ただモヨウ替えをするのではなく、モヨウ替えで生まれる作業の中で家族間の対話を重ねること。それによって、家族の関係が深まり、チーム化が実現するというのです。

モヨウ替えというのは暮らしに直結していて金銭面の問題も含まれるため“家族ごと化”しやすく、生活が良くなるのが目に見えて達成感を得やすいため、家族で深い対話をするのにもってこいなのだそう。

もちろん、対話ができる年齢であれば子どもも一緒に巻き込んでいきましょう。

自分でやったほうが早い、と全部自分でやってしまっていませんか?

まずはその意識を捨てて、「マイルール」から「家族ルール」へと変えていくことが大事です。誰かが仕組みをつくってから、そのルールを一斉通達するのではなく、まずはルールをつくってから、話し合って仕組みをつくること。

例えばテーブルにたまりがちな書類を、散らからないように整理したい場合。三木さんが提案しているのは、以下のやり方です。

「玄関にゴミ箱を置いたから(仕組みを先につくる)、ポストから取ってきたいらないチラシはそこに捨ててね(ルールを通達・決定)」と言うよりも、まずは「ポストから取ったいらないチラシは、玄関で捨ててから家に入れば散らかりにくいと思うんだけど」とルールを提案する形にすれば、「でも荷物もあるし、玄関でいちいち捨てるのは面倒くさいよ」「なら居間のテーブルで確認してからすぐに捨てるほうがいいかな?(ルールの再提案)」「そうだね」「じゃあテーブルの近くにゴミ箱を置くね(仕組み決定)」などと、話し合った上で仕組みを固めることができます。

一緒に決めているから、家族みんなが“自分ごと化”しやすいというわけですね。