庶民の暮らしの匂いがする生活市場を歩く

【韓国で行きたい都市・全州 vol.2】モレネ伝統市場の入口

観光施設が充実した伝統家屋村もよいが、全羅道に来たなら、やはり生活市場を歩きたい。

再開発が遅れた分、昔ながらの庶民の伊吹が感じられる市場が全州にもいくつか残っている。

朝食をとったあとに向かったのは、韓屋村から北方向に3キロほど北上したところにあるモレネ伝統市場。

アーケードも垢抜けしておらず、観光客はまず来ない雰囲気だが、韓国の地方の生活感にふれるなら市場散歩は欠かせない。

ソウルを舞台にしたキラキラの韓国ドラマには登場しない、リアルな韓国の姿を垣間見ることができる。

【韓国で行きたい都市・全州 vol.2】モレネ伝統市場の鮮魚店に並んでいたエイと太刀魚。全羅道でよく食べられている魚だ

地方では飲食店などの店先で地べたに野菜を並べて商う行商人の姿がまだ見られる。

人気店らしい粉食(粉もの)店の前では、買わない客まで店の人とあいさつを交わしながら通り過ぎていく。ただぼんやりと眺めていたい平和な光景だ。

【韓国で行きたい都市・全州 vol.2】あずき粥の店の前には、鬼があずき粥の前で小躍りするイラストが

市場の路地裏は老朽化した建物が多く殺風景だが、美術を学んでいる学生が描いたと思われるカラフルな壁画があたたかみを加えている。

夢中で歩いているうちにお昼の時間だ。店の引き戸に、あずき粥やすいとんの写真を無雑作に貼った店に入ってみよう。

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  • 『土房』は全州市の郊外にある。韓屋マウルからタクシーで15分ほど
  • 陶器の甕専門店『オンギバッ』(青年モール)
  • ビザンチン様式とロマネスク様式が併用された女性的なフォルムの殿洞聖堂
  • 『土房』のテジプルコギ・ペクパンの主菜、甘辛の豚焼肉
  • 伝統家屋をリノベーションしたカフェやレストランが受けて、土日は韓国の若者が大挙してやってくる全州韓屋マウル。写真はレンタル韓服(伝統衣装)姿で写真撮影を楽しむ女の子たち

(つづく)

※取材協力:全羅北道 文化体育観光局 観光産業課

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。