アフシン・ゴトビ監督(清水エスパルス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS アフシン・ゴトビ監督(清水エスパルス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS

連載第4回で、2週連続の直接対決がナビスコカップ決勝をより難しいものにすると書いたが、この難題を解くのが指揮官である。清水エスパルス・ゴトビ監督と鹿島アントラーズ・ジョルジーニョ監督がその任に当たる。ジョルジーニョはブラジル代表で2度ワールドカップに出場するなど、現役時代は世界的な右サイドバックとして鳴らした。片やゴトビは、少年時代にイランからアメリカへ亡命、大学時代もコーチを務め、少年サッカーの指導やスカウティングを経て、プロの指導者となった。ここまでの歩みはまったく異なるが、古巣・鹿島に帰還した1年目のジョルジーニョ、清水を率いて2年目のゴトビはともに48歳。そして、ふたりとも信念を貫く。

「清水エスパルス対鹿島アントラーズ ナビスコカップ 決勝」開催情報

各チームがDF4人・MF4人・FW2人の4-4-2や日本代表に倣った4-2-3-1のシステムを組む中、ゴトビ監督は前線にウイングが張る4-3-3を敷く。ジョルジーニョ監督は開幕戦で鹿島伝統の4-4-2から4-3-1-2にシフトチェンジ。結果が出ないと一時4-4-2に戻し、今では4-2-3-1で結果を残している。ただの頑固者では話にならないが、軸がブレては選手たちは付いて来ない。

軸がブレないだけでは足りない。両指揮官とも選手交代が早い。前半をビハインドで折り返すと、後半頭からの選手交代はざら(ジョルジーニョは前半での交代も少なくない)。ピッチ上の問題点を修復すべく、次々駒を投入する。ゴトビもジョルジーニョも、ブレない軸とともに、フルキシブルな対処術を身に付けている。

さらに監督の大切な資質のひとつが、負けた時の立ち振る舞いにある。チームが勝っている時に余計なことをする必要はない。連敗続きの時にこそ、監督の器量が試されるのだ。リーグ戦開幕5試合勝利なしだったジョルジーニョ監督は「上へ行く方法は日々、一生懸命、辛抱強く、努力し続けるしかない。困難を乗り越えた時に大きな未来がある」と語り、リーグ中盤で8試合白星から遠ざかったゴトビ監督は「若い選手はミスも起こす。彼らはミスから学んでいくもの。我々の戦略は長期的なものだ」と言った。ふたりとも選手を敗戦のスケープゴートにしない。

ふたりの指揮官がリーグ戦を受けて、ナビスコ杯決勝でどんな策を講じるのか。ゴトビとジョルジーニョだからこそ、愉しみと言える。

決勝は11月3日(土・祝)、東京・国立競技場にて。チケットの一般発売は10月20日(土)10:00より。なお、チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施中。10月19日(金)11:00まで受付。