ヴィジュアル系って、アニメやコスプレと案外近いと思って。ホストも海外では「日本特有の文化」として見られてますし、言うならば全部「日本カルチャー」なんですよ。今、雑誌でも「JV=ジャパンヴィジュアル」って呼んで推してるんですけど、それを全部融合させたものを作りたいと。僕のアメーバブログにも、海外の方からのメッセージがたくさん届くんです。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア圏…いろいろな国の「日本の雑誌専門店」みたいなところで「メンズスパイダー」は売られてるみたいなんですよ。海外からも日本発のカルチャーとして注目されてるのは良かったなって思います。

――創刊当初から売れ行きは良かったんでしょうか。

鮎川:当初は別の雑誌の増刊号としての発売だったんですが「こんな雑誌を待っていた!」という意見は多かったです。創刊号は本当に数字は良かったですね。最初は「メンナク」の流れもあって、ホスト系メインで始めたんですが、やってる間にヴィジュアル系だけじゃなく、男の化粧、男のネイルや整形も取り上げるようになったし。現在はコスプレや、女の子の男装にも注目していて、紙面でもよく扱うようになりました。

完売したというyasuさん表紙の号
Men's SPIDER  2012年 03月号
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――1番反響のあった表紙の号はいつですか。

鮎川:やはりAcid Black Cherryのyasuさんの表紙の号ですね。これはAcid Black Cherryのバンダナを付録につけていたというのもあって、完売してます。最近出たゴールデンボンバーの喜矢武豊さん表紙の号も完売したようです。

――「メンズスパイダー」の創刊は08年ですよね。当時はまだ、現在のゴールデンボンバーのようにTVに頻繁に出ているようなバンドもいなかったと思うんですが、「ヴィジュアル系が流行る」という確信はあったんでしょうか。

鮎川:僕は水商売の仕事も長くしてたんですけど、水商売の方って流行を先どるんですよ。Acid Black Cherryもそうなんですが、以前からホストやキャバ嬢の間ですごく人気が高かったし、ゴールデンボンバーの「女々しくて」も今みたいに世間一般で有名になるもっと前から「盛り上がれる曲」として有名だったんです。

喜矢武豊さん表紙の号
Men's SPIDER 2012年 11月号
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「メンズスパイダー」のロケで全国に行くんですけど、夜にキャバクラに行くと、夜の子はゴールデンボンバーのことをみんな知ってたんですよ。バンギャ(ヴィジュアル系バンドのファン女性の総称)って呼ばれる子の中で水商売をやってる子が多いっていうのもあるんですけど、「これは絶対人気になるな」と思って。

何故女の子がAcid Black Cherryやゴールデンボンバーが好きかっていうと、キーが高いからというのも一つの要因なんじゃないでしょうか。歌いやすいというのが第一なんですね。自分のキーで歌えない曲を女の子は歌わないんです。

そしたら男の子の側、ホストの方も女の子からモテたいですから「女の子から受けのいい曲・人気のある曲」をリサーチするので、Acid Black Cherryやゴールデンボンバーの曲を覚えるんですよ。